第15話
14話で投稿するものを間違えていたので修正しました。そちらからお読みになってください(10/15 16:00)
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ということで、ボクのステータスを確認することになった。しかし、開き方を知らないので教わりながら開くことになる。
「開き方はシンプルです。頭の中、もしくは口頭で“ステータス”と唱えるだけですから」
「分かりました!」
実は昨日ステータスの話を聞いた時から、ずっと気になっていたのだ。ボクは漫画とかをよく読む方なので、ステータスという言葉に憧れがある。だから、自分のそれを、と言うとどうしてもワクワクしてしまうのだ。
そんな気持ちを抑えながら自分のステータスを開いてみる。
「じゃあ――“ステータス”!」
すると、音もなく半透明の板が現れる。
そこには日本語で名前とかレベルとか色々と書かれていた。
「ふおぉ~……これがっ!」
「ちゃんと開くことは出来たようですね」
「はい!半透明の板にステータスが書かれてます!」
「ではそれを周りにも見えるようにしてください。やり方は先程と同じようにして“
「はい!――“展開”!」
自分からは最初から見えていたので分からないけど、みんなの視線が一斉にボクの手元に集まったので見えるようになったんだろう。
みんなはボクの後ろからステータスを覗き込んでいるので、後ろからの圧が凄い……
「これがボクのステータス……」
半透明の板に書かれていたのは主にこんな感じの内容だった。
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名前:柊龍希 女(16)
レベル:40
ユニークスキル
八百万の晩餐Lv.1
絆を紡ぐ者Lv.1
スキルポイント
150
称号
最速ダンジョン攻略者 ユニークホルダー
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「へぇ~、なんか色々な項目があるんだね」
上から順に名前と性別と年齢。特に間違っている所はない。
次にあるのがレベル。確か昨日のランキングの話で、ボクのレベルが40とか何とか言っていた覚えがあるのできっとあっているんだろう。サイトの方はまだ時間がなくて、自分では確認してはいないのだ。
「これは……ツッコミたいところありあり……」
「そうなの?水月と朝陽のはこんな感じのじゃないってこと?」
「いや、内容自体はほとんど変わらないんだけど……」
「……?」
二人の言いたいことが分からず首を傾げていると、日高さんが説明してくれた。
「まずスキルですね。複数のスキルを持つ人は確認されていますが、ユニークスキルというものは初めて見ました」
「えっ、じゃあみんなのはどんな風なんですか?」
「ほとんどの人が“下位スキル”と書かれていますね。中には“上位スキル”と書かれたスキルを持つ者もいます。そして本当に極少数ですが、“エクストラスキル”と書かれているスキルを持つ者も確認されています」
「ちなみに私と水月はエクストラスキルを持っている」
「そうなの!?」
まだ正確な情報ではないが、上位スキル以上のスキルを持っているのは全体でも一割いないんじゃないかとのことだ。その中でもエクストラを持つのはさらに一握りの人たちだけ。
家の妹達は一体どこまでハイスペックなのだろうか……
お姉ちゃん嬉しいようで寂しいよ……
「そして“ユニークスキル”。これは初めて聞きました……確認が取れている範囲では、ですが」
ちょっとだけ優越感。誰も持っていないユニークスキルなんてことを聞かされたらワクワクしない方がおかしい。まあでもボクはそんな感情出さないけどね。あくまでクールに振舞うんだよ。
「それじゃあ珍しいスキルなんですね。ちょっと嬉しいです」
「……姉さん。ちょっとどころか目から星が出てきそうなほど、キラキラしてるけど?」
「うぇ!?そ、そんなことないよ!?」
「ふふっ……それじゃあ次はスキルの詳細を確認していきましょうか」
「そ、そうですね!お願いします!」
詳細を確認するには、そのスキルの名前をタップするだけでいいらしい。試しに『八百万の晩餐』と書かれているスキルをタップしてみる。すると小さいウィンドウが開き、スキルの詳細な効果が表示されるようになった。
「ええと、何々……――」
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ユニークスキル 八百万の晩餐
効果 食事によって様々な効果を発現する事の出来るユニークスキル。
食材からエネルギーを取り込み、自らの力と化す。
派生スキル
活食 全身の細胞を活性化させる。
医食 傷や状態異常を治癒する。
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「どうやら当たりみたいですね……」
「確かにこのスキルの特徴と柊さんの体に出ている症状は一致していますね。体重に関しても、このスキルが作用している可能性が高そうです」
日高さんと先生の話からして、このスキルがボクの体の異変に関係しているのは間違いないみたいだ。
それにしてもスキルの説明を見る限り、スキル名も効果もひたすら食事に関係している。
「これはボクが食いしん坊だと言っているのか……?」
「スキルはその人の深層心理を反映して発現するとか言う説もネットにあった……つまりたつ姉はそういうこと……」
「最後ぼかしてるけど全くぼかせて無いからね!?言いたいことが一から十まで伝わってくるからね!?」
「さっき自分でも言ってたじゃないか」
「ふぐぅ!?」
妹二人がいじめてくるぅ……
絶対違うもん。スキルはきっとランダムに発現しているんだ。そうに違いない。むしろそれ以外認めない!
「ですがスキルが原因というなら話は早い。このスキルをオフにしてしまえばいい」
「分かりました。要領はこれまでと同じ感じでいいんですよね?」
ステータスを開いた時と同じように、八百万の晩餐というスキルをオフにするように意識する。
「……っ」
すると、体から力がすっと抜けていく感覚があった。そのせいで思わずよろめいてしまい、それを両脇から朝陽と日高さんに支えられる。
「姉さん、大丈夫!?」
「う、うん。だいじょうぶ大丈夫。ちょっと力が抜けただけだから……でもスキルはオフに出来たと思うよ」
「ちょっと、いいですか?」
二人に支えられながら先生が診察を始める。この場では簡易的な検査を行い、詳細な検査はまた明日改めてするそうだ。
診察されている間も、体に力が戻って来ず思ったように動く事が出来ない。
「……体にかなり疲労が溜まっているようですね。今日は歩くことは無理かもしれないので、車椅子を使ってください」
「先生……龍希は大丈夫なんでしょうか?」
「龍希……」
確かにこの状態だと歩くことは出来ないかもしれない。背もたれが無いタイプの椅子なので、支えが無ければ倒れてしまいそう。まさかこんな事になるとは思わなかった。またみんなに心配をかけてしまったことが心苦しい。
「詳しいことはまだ分かりません。ですが、言った通りとにかく疲労が酷い。ずっと活性化状態だったせいだと思いますが。とにかく、今日のところはしっかりと休んでください」
そうしてボクが話を続けられる状態じゃなくなってしまったので、そこで話は終わりとなった。両親や日高さんはもう少し先生と話をしていくらしい。ボクと妹は今日入院することになる病室に案内された。もちろん入院するのはボクだけで、家族はこの後帰ることになっている。
立ち上がることが出来ず、ベッドに寝かせてもらうのも妹にやってもらった。何だか介護されているみたいで、ちょっと恥ずかしかった。二人は気にしなくてもいいと言ってくれたけど、ボクにだって姉としての威厳というものがあるのだ。
まったくそう言うところは気が利かない妹達だね。
「そんなことよりも姉さんは休んで。じゃないと元気にならないでしょ?」
「うん……二人はもう帰っちゃうの?」
「たつ姉が寝るまではいるつもり……お母さんたちも少し時間がかかりそうだから……」
広い病室に一人というのはちょっと、ほんのちょっぴりだけ!心細いのでそれは嬉しい。
「……(それにしてもどうしてそんなに弱ってるのよ。今朝までは元気だったじゃないの)」
枕元でスライムちゃんが喋っている。スライムちゃんには病院についてすぐに、ここで待っていてもらったのだ。さすがに病院の中をスライムを抱えて歩く訳にもいかないからね。それで戻ってきたと思ったら、ボクがこんな姿だったんだ。驚くのも無理ない。
「ちょっとスキルのせいで疲れが溜まってたみたい。少し休めば治るから大丈夫だってお医者さんの先生がいっていたから」
「……(そう……何かして欲しいこととかない?私に出来ることならするけど)」
「う~ん……あ!それじゃあ、スライムちゃんの出してくれた水が飲みたいかな?ダンジョンで飲んだのが美味しかったから」
「……(そんなことでいいの?……分かったわ――)」
そうして隣の机に置いてあったコップを取り、ダンジョンの時みたいに水を注いでくれる。その光景をボクは懐かしく、妹達は目を丸くして眺める。懐かしいと言っても昨日の話なんだけどね。やっぱり密度濃く色々としているから、時間が経つのが早い。
「……うん、やっぱり美味しい」
「たつ姉、それ――」
「スライムちゃんが作ってくれたお水なんだよ?美味しいから飲んでみて!」
「う、うん。それじゃあ……」
ごくりと唾をのんだ水月は意を決してスライムちゃんの水を飲む。
うんうん、確かに最初は驚くよね。ボクも最初は飲むのに躊躇したのだ。そして飲んでみたら美味しいと分かったわけだけど。
「ん!?これ、美味しい……」
「わ、私にも貰えるか?ちょ、ちょうど喉が渇いていたんだ」
「素直に飲んでみたいって言えばいいのに……朝陽の見栄っ張り……」
軽口をたたく水月からコップをひったくると、朝陽もスライムちゃんの水を飲む。
「ん……本当だ、美味しい……」
「これって魔法……それともスキル……?」
「……(スキルね。まあそんなに珍しいスキルでもないのだけれど――)」
そんなたわいもない話をボクが眠るまでしてくれた。スライムちゃんも随分と打ち解けてきたように思える。まだボクの通訳は必要なんだけどね。今更だけど、どうしてボクだけ言葉が分かるんだろう?
そうして、気が付いた時には既にお日様が昇っていて、病室の窓から日差しが差し込んでいた。
その後すぐに家族がやってきて、昨日と同じように検査をし、その結果を聞いている時だった。
「……柊龍希さん。これ以上そのスキルを使い続けると、貴女の体は長くは持ちません」
その言葉に、全員が凍り付いた。
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