第3話 陰陽の技

次の日の夕方、わたしは星川神社の

社務所の中の一室で、

隠れ陰陽師と噂されている女宮司さん

と相対していました


遠いところ、よく来てくれたわね


えーっと、楓ちゃんだっけ?

日向楓さんだよね?


一応自己紹介しますね


私の名前は須賀涼子


建前は宮司だけど、

陰陽の技を故あって受け継いでいます


ただ、こういうのは、一子相伝というか

壺の中の油を他の壺に移すように


一対一で伝えていくもので

めったやたらに教えられるものでは

ないのよね



『▪▪▪』


でも、何かご縁を感じたので

陰陽の技をひとつだけ伝えることにしました


ただ、どうしても楓ちゃんの場合、

気というかエネルギーが足りない所が

あるの


だから、その点は陰陽の護符が

身代わりになって働くようにします


『▪▪▪』


「まあ、よくわからないと思うんだけど


この陰陽の技を使ってあなたは夢見を

することになります」


『夢見?ですか?』



そう、夢見を使って、

例の夢の中にでてくる女の子と

相対して、決着をつける必要があるのよ


そうしないと、延々と夢の中であなたが

相手しなくてはねらなくなるから」


『それは困ります▪▪』


夢見、夢見の技は、要は、夢の中でも

意識を保って、夢の中でも思うように

行動できるようになる技のことをいうの」


『夢の中でも思うように行動▪▪▪』


もしそれができれば、なんで

例の女の子が毎晩夢にでてくるか

聞けるでしょう?


理由をハッキリさせたら

それで問題は解決するわよ(^o^)」


『そんな、かんたんにいくのでしょうか?(^_^;)』


「だいじょうぶよ!」


『だいじょうじゃ、なさそうな▪▪

あと、逆にこういう技は知らない方が

結局しあわせだったとか▪▪▪』


逆なのよ、いま学ばなくては

ならないときなの


でないと手遅れになるわよ!」


『そーなんですか、こわいけど

先生がそうおっしゃるのなら

学ばせて頂きたいと思います』



「楓ちゃん、あなた

『天地とひとつになれる!』

っていっていたよね」


『はい』


「もともと私たちは天地とひとつなのよ


はじまりのはじまり


これを【太極】というの


それが男と女に分かれて、

陰と陽ね、陰陽師の陰陽


それがまた分かれて分かれて

八つになった


天▪沢▪火▪雷▪風▪水▪山▪地

(乾▪兌▪離▪震▪巽▪坎▪艮▪坤)


その組み合わせで万物が生まれ、

万象があらわれるの


春が去って、夏来り

秋に更わって、冬と換り、

日暮ぐれて、夜に継ぎ


春の小川、小鳥のさえずり、

夏の蝉時雨、子供たちのはしゃぎよう

紅葉をたのしみ、山の幸が実り

冬景色、寒さに身が引き締まり、

地中の種は春の陽光待ち、芽吹く準備をする



(▪▪▪)


首乾腹坤 天地定位

耳坎目離 日月明光

口兌手艮 山沢通気

股巽足震 雷風動作

▪▪▪

至誠為道 昭昭感応

▪▪▪


急急如律令

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