ラーク・プリヴェル

この日ラークはある邸宅を訪ねた。

創世の一族で最も力の弱いとされているメビウス家である。

ラークがノックをすると使用人らしい白髪交じりの男が出てきた。

「ラーク家当主、プリヴェルだ。今日はメビウス殿に話があって参った」

「どうぞ」

男はそれだけ言って奥の部屋へ案内した。

ここでも男がノックする。

「メビウス様、ラーク家のプリヴェル様がお見えです」

「通せ」

奥からうめくような声が飛んでくる。

「どうした、プリヴェル。久しぶりだな」

メビウスは意外にも好意的だった。

「ああ、この間ケントから招待状が来ただろ」

「あれか。あれがどうしたんだ」

ラークはメビウスにその日の出来事をすべて話した。

《シガーズ・ユニオン》(以下、煙合)のこと。

ウィンストンとキャメルも集会には来なかったこと。

連合に入らなければケントの計画は知らされないこと。

マルヴォロ家とピアニッシモ家が煙合にはいらなかったこと。

そして、『計画』のこと。

彼がすべてを聞いた時、使用人にこう言った。

「ウィンストン、キャメル、マルヴォロ、アリアを呼べ。至急だ」

どうやら彼に話して正解だったようだ。

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