謎の音声ログ2

『アリス! マナ! 目を閉じて伏せてろ!』


『うん!』


『はい!』


『って隊長、武器は!?』


パアン!


『今持った』


『あ、はい』


≪な、殴っただけで頭が破裂した!?≫


≪せ、精神生命体共用のけ、計測値が、ひ、ひいいいい!? 精神値が300!? 600!? 1000!? け、計測不能!? い、 生き物じゃない!≫


≪そ、そんな馬鹿な! こ、殺せえええええ! あ、悪魔を殺せええええ≫


『久しぶりにその呼ばれ方を聞いた気がするな。この銃を使え幹也。俺はこっちを使う』


パアン!


『うっす! 隊長、増援が来ました!』


≪ムウ様を運べ! 手榴弾だ! 船内だろうと構わん投げろ!≫


≪了解! 投擲!≫


『すまんが十八番だ』


≪弾き返さ!?≫


≪ぎゃああああああ!≫


『隊長の手榴弾撃ち返し久々に見た』


≪撃て撃てえええ!≫


『妙に分からん。仰々しい服を着いた兵が多い割に練度が低い』


『今運ばれたムウとか呼ばれてた奴が余とか言ってたんで、実戦経験の乏しい近衛兵かもしれません! さっきも味方同士で射線被ってました! あぶねっ!?』


『となるとそんなのが乗っているここは旗艦か? 単独行動で敵地の地上に?』


≪撃たれた! ぎゃああああ!≫


≪だ、だずげで≫


『アリス、マナ、大丈夫だから安心しとけ! 地球の事舐め切ってました! ぬをっ!?』


『そういえば覚えのある話だな。流石に単艦ではなかったが』


≪ごぽぽぽぽっ≫


≪ぐぎゅっ≫


≪立ってるだけなのにどうして弾が当たらないんだ!?≫


≪悪魔だ! 悪魔だあああ!≫


『そういえば隊長、こいつらの艦隊はっかすった危ねえ!?』


『元帥が主力艦隊を率いて戦っている。心配はいらん。危ないぞ』


『ぬをっ!? ありがとうございます!』


≪ぐぷ……あく、ま……≫


『片付いたか。俺はこのまま艦橋を押さえる。すまんが後で来てくれ。あいつが呼ばれていないから、直接コントロールパネルか何かにそのカードを差し込んで無理矢理呼び出す』


『分かりました!』


『ではまた後でな』


『はい!』


『おじさんもう大丈夫?』


『あーっと、目は開けちゃだめだ。絶対に』



『どうしてあいつは呼ばれてないんだ?』


≪ぎゃあああああああ!≫

≪ひ、ひいいいいい!≫


『繋がりました。あなたがいれば十分だと、正式に呼ばれてないんですよ』


『パンはパン屋にだろうが。この艦のコントロールを奪えば、すぐに幹也とあの少女達を降ろせたんだがな。それで、この艦のコンピューターを触媒に出てこれそうか?』


『そもそも勘で操艦できるでしょうが……さて、出る分には問題なさそうですが、出たところでこの艦は何とかなっても、敵艦隊のコントロールを奪うなんて出来ませんよ。それが出来たらもっと早くあの戦争も方が付きましたからね。あと餅は餅屋です』


『上はどうなってる?』


『無視ですかそうですか。それがですね、どうも至る所に散らばって居住可能惑星を探していたようで、援軍が続々と到着して拮抗状態です。まあ、元帥ならそう遅れはとらないでしょうが』


≪い、いやだあああ! ぎゅ≫

≪ぐぷぷぷぷ……≫


『ならあれは呼べると思うか?』


『いけるんじゃないですか? エージェントが敵旗艦に乗っているんですから』


『そうか。なら尚更艦橋を押さえる必要がある』


≪どうして!? 走ってるだけなのになんで当たらないんだ!≫

≪か……ひゅー……か……≫


『まあ頑張ってください。私はフォローに回るので。ああ、エージェントにではありませんよ』


『そもそもお前にフォローされた覚えなどさっぱり無い』


『言ったなてめえ! まず最初はワープ艦を!』


『通信終わり』


『あってめ!?』


≪ぎゃあああああ!≫



『アリス、マナ。絶対目を開けちゃだめだからな! マジで振りじゃないから!』


『うん!』


『はい!』


『いやはや、死屍累々とはこのことですね。まあそのお陰で艦橋までの道標が出来てるんですけど』


『隊長が敵に容赦してるとこなんて見たことねえよ! というかはじめさん来てないのか!?』


『無茶言わないでくださいよ。"人類の守護者"と一緒にセットで呼ぶなんてパンクするに決まってるじゃないですか。労働基準法違反です』


『それ人間専用だから!』


『カードにも権利を』


『ぜってえそんな権利生まれねえ!』


『今度彼と一緒にストライキをっと、銃声と共に艦橋らしき場所が。その前の壁は拉げてますが』


『蹴り入れたんだろうなあ……』


『おっと、余とか言ってた奴がぶら下げられてますね。片手で』


『隊長!』


『少し待ってくれ。今こいつからコードを聞き出している。手間は少ない方がいい』


≪ぎ、ぎざま! そ、そうだ! おい! そのメス共を使えば宇宙を制する事だって可能なんだ! 余に協力すればありとあらゆるものを下賜してやろう! 望みを言ってみろ!≫


『あん? 俺の望み?』


≪そ、そうだ!≫


『アリスとマナの幸せだ。つまりお前がいちゃ叶わない』


≪ま、ま!?≫


『……あ、すいません隊長。撃っちゃいました』


『気にするな。撃たれるか首を折られるかの違いでしかなかった』


『すいません。ってどうしたアリス、マナ? 大丈夫か?』


『な、何でもない!』


『はい!』


『マスターカード』


『サーイエッサー! なんでしょうか特務!』


『おい、俺の時と態度が全然違うな!?』


『あの艦は呼べるか?』


『サーイエッサー!』


『なら呼んでくれ。その方が手っ取り早い』


『サーイエッサー! 縁召喚実行』




『センター近郊の戦い! 特務大尉! 条件を確認! メモリー起動!一件の該当あり!』




『ワイルド認証! 選定完了! スターレア!』




『テキスト! 海で最強だからリヴァイアサン。最後は人間に食われた所もぴったりだろ?』




『"神の次に強きもの"!』




『"人類連合軍宇宙艦隊総旗艦"!』



全長9km

敗北はただ一度。いや、その名を冠して無敗

名だたる大会戦100と余を全て勝利に導いた


宇宙に咲いた青薔薇が


世界を超えて


再び地球に咲き誇った






『リヴァイアサンを召喚します!』

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る