第9話

「マヒロ、あのさ。俺は勉強を教えにきたんだよ。こんなことするつもりで来たわけじゃないんだ」「お前に夜の勉強のレクチャーを受けるつもりは毛頭なくてだな」


「それは分かってるけどぉ」


「日を改めないか、この、続きは、おまえが高校受かってから、その、なんだ...」


「お楽しみはとっとけってこと?」


使用人がケーキやら割れたグラスやらを

片しながら俺らのことチラチラ見てた。

多分だけど、聞き耳も立ててたと思う。


「私を気持ちよくさせんのは、とりま、お預けってこと?」


「う、うん、まぁ、そーゆーことになるな...」


マヒロは俺の身体からおりた。


「仕方ないな。食べ物を前にして待て、をくらわされた犬みたいだけど、そんなご褒美でもなきゃ、私、勉強頑張らないと思うしね」


「だろ?」


やがて。


使用人は床を綺麗にし終えて、一旦顔を引っ込めた。


その10分後。


使用人が再び顔を出したときには、

マヒロは大人しく机に向かってた。


「紅茶とケーキ、こちらに置いておきますね」


「どうも、ありがとう」


ドアが閉まる音がして、それから。


カリカリ...

シャーペンをスムーズに走らせて、やがて手を止めたマヒロ。


「取り敢えずさ、今度のテストで10点上がったらやっちゃう?」


マヒロの真横に立って勉強を教えてた俺。

そんな俺の太腿に人差し指を立てて、トントンと意味ありげに叩いてくる。


「いや、バカ。さわんな!

高校受験合格したら!」


「ちぇ...」


ぶつくさ言いながらも。


俺はマヒロを精一杯頑張らせるために

動く。


その為には、童貞の卒業を先送りすることさえ、厭わない。


それにしても。

マヒロの横顔を見ながら俺は。

こんなことを思ってた。


俺の幼馴染は、滅茶苦茶、エロ可愛いって。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る