第41話 いつの間にかハロウィン
「え……何これ…………。」
扉を抜けた先、倒壊した家々を修復していく人々に奇妙な人達が混ざっていた。蜘蛛頭の人、馬頭の人、ヒトデ頭の人……ヒトデ頭!?いやいや、蜘蛛頭も馬頭もおかしいわ。
街を
「ってことはまさか……。」
心当たりがありすぎる。間違いなく
ちらりとレイの方へ目を向けると、レイもやはり同じ様に見えているのか、口を開けたり閉じたりを繰り返している。
「ツ、ツカサ、魔人が見えているのは気のせいか?」
「残念ながら現実だな。」
「「と、いうことは。」」
俺達にそう見えているなら、他の人にもそう見えていておかしくない。特に聖女様に見つかるとなると大変不味いことになる。
目があった俺達は次の考えも一致した。二人してゆっくりとフォクシリアとベリーニの方を向く。視線の的となった二人は、住民の手伝いをする魔人達をじっと見つめている。
「あの方達は……」
「いえ、ベリーニさん。あれはですね……!」
不思議そうな声を出すベリーニの言葉を慌てて遮る。なんせ二人は聖職者、悪魔とは敵対関係にあるはず。急に『破ッ!!』とかされたら困る。されるにしても、説明してからの方がいい。
だが、俺の制止も虚しく、ベリーニはその先を口にしてしまう。
「皆さんを手伝ってくださるとは……なんていい方々なのでしょう。」
「え?」
気にならないのだろうか、明らかに危険な見た目なんだけど。
キョトンとしている俺の耳に、フォクシリアが囁きかける。
「あの子と住民のみんなには、ひっく、普通の人間に見えてるから大丈夫……ひっく。」
「ひっ!!」
「フォクシリアさん!?いつの間に……。」
確かに俺達より前に居たはずのフォクシリアはこの一瞬の内に、俺の側へとぴったり寄り添っていた。レイに見えない程の俊足。やはり只者ではないこの聖女。
「君達のお仲間の魔法でしょ、あれ。」
「まぁ、たぶん……。」
その瞳は、酔ってるにしてはしっかりと俺達を見据えていた。
「なら良かっ、ひっく、た。そうじゃなかったから、ひっく、『滅ッ!!』ってしちゃってたから。」
そう言って、フォクシリアは手を前に突き出して見せる。その動きは見た目の真面目さも相まってコミカルに見えるが、洗練された動きだった。
「やっぱり出来るんだ……。」
「一度手合わせ願いたい位だな、あの技量。」
「ひっく……別に構わないわ、後で
「ええ、是非!!」
「食い付くなよ……。」
「ちょっとー?皆さん、何してるんですか?」
好奇心の旺盛なレイと酔狂聖女フォクシリア、最悪のマッチが組まれようとしたその時、ベリーニからの声がかかる。
「助かった……。ほら、行くぞ、二人とも。」
街の復興、そして魔人問題を解決する為、俺達は更に街の奥へと歩みを進めた。
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