第23話 パーティーというよりむしろ【前編】
興味深そうに皿に顔を近づけるレイ。そんなにじっくり見られるとなんだかこっちまで緊張してきてしまう。
「これがツカサの本気、ということかな。」
「あぁ。色々と研究を重ねた結果がこれだ。見た目は悪いけど、味は……何でもない。さぁ、食べてくれ。って、何だよクロネ。」
味についてごまかしたところで、わき腹をクロネにつつかれる。
「そこは美味いって言うとこだろ、普通。」
「クロネは普通の焼きマンドラゴラを美味しいと言ったんじゃから、心配ないと思うがの。」
クロネのツッコミに呆れ顔で更にツッコミを入れるマーリン。
味音痴って直接言わない辺りにマーリンらしい優しさを感じる。
「えっ、あれって不味い奴だったのか……?」
「まぁ、クロネが味音痴かどうかは置いといて。ツカサの努力の成果、私達も味わうとしようじゃないか。」
「味音痴…………。」
マーリンからのツッコミで既に勘づいていたクロネに、レイからの悪意のない横槍が刺さり、疑惑は確信へと変わってしまった。
「まぁ、その何だ。味覚って人それぞれじゃん?だから、クロネの感じ方も間違ってないと俺は思う。」
下がっていく場のムード。その気まずさに耐えかねた俺の要らないフォローがダメ押しとなり、クロネはマスクを被り、部屋の隅でうずくまってしまった。
「フォローになっとらんのぉ。」
他人事の様に呟いたマーリンの言葉だけが、部屋に響いていた。
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