指定校推薦で超エリート：特務工作員を輩出する学校に入学したけど色々危機です！～公務員確定ルートから外れるな～

第20話 小テスト

―ある日の午前

「見たいの？」

「あぁ、ゆずのが見たいんだ」

｢私じゃなくちゃ・・・ダメなの？」

「そうだ。早く見せてくれ」

俺はそう言ってゆずに迫る。早くしないと七海にバレてしまうからな。

「・・・ダメ」

「な、なんでだよ。昨日の夜は見せてくれたじゃないか」

「私だけ見せるのはずるいわ」

「なら・・・俺のも見るか・・・？」

「・・・変態」

「そういう風に会話を誘導したのはゆずだろぉぉ！！！！！」

「うるさいわ。はい、ノートよ」

そう。無事にSAEGの再試を合格で終え、気分良くゴールデンウィークを迎えるはずだったのだが、英語の小テストが待ち受けていたのである。

これまで小テストなんて実施してこなかったくせにいきなりするとか卑怯すぎるぞ。しかも成績に反映されるとな。

10位以内に入るためには小テストすら見逃せない。出来るだけ点数を取らないと・・・。

「あ、いた！！！！！！」

ゲッ。

「英慈！　それはズルいよ！」

「いやいや・・・これは半分お前の為に・・・」

「それはこれ、これはそれ」

それ、何も変わっていないですよね。

「ウチと勝負するなら地頭でっていう条件だったでしょ！」

「あーうるさい！七海が授業中寝てるのが悪いんだろ！！」

「そんなウチにプリンを賭けた勝負をする英慈が悪いんだよ！」

「ここは部屋じゃないわ」

周りを見渡してみると視線がグサグサ刺さってきた。

「・・・しゃぁーないな。せいぜい負けてプリンを泣きながら買ってくるんだな」

「はいはーい。行くよー」

謎のハイテンションで手を引っ張る・・・って強すぎない？

「七海、痛いから・・・・痛い痛い痛い！」

「逃げちゃダメだからね？」

「逃げねぇよ！」

なんとか手を離してくれた。ハイテンション七海はスキップしながら教室へと入っていく。

廊下にいる他の生徒達の目が痛い。物理的苦痛から開放されたと思ったけど、次は精神的苦痛ですか・・・。

でも、こういう騒ぎを起こさなくても最近妙な目で見られる。羨望のまなざしってやつですか？　

学年トップの脳みそが性癖をロリコンに歪めてしまうような可愛さを纏っているゆずに、可憐っていう言葉がピッタリな優しい活発系女子の七海と同棲してるからな。

そりゃそうか。そうだな、俺が何も知らずに今の俺と同じ境遇の奴を見たら、爪をかみちぎる程羨むな。

だけど、そんな良いものじゃないぜ。部屋に帰ったら完全にアウェーの花園だし、ボケが二人いるから常に大渋滞だし、何かあると罵倒されるし、俺が朝起こさないとあいつら一生起きないし・・・。

どうせ、部屋でムフフなことしてるって勘違いされてるんだろうな。

・・なんか腹立ってきた。廊下でジッとこっちを見てるアイツ・・・何すか？俺は今からテストだからな！

「それでは・・・開始！」

久しぶりにテストの緊張感を味わう。

最初に問題を最後まで見てみたけど、特に問題なし。凡ミスさえ起こさなければ9割以上は固いだろう。

横に座っている七海は上の空で窓の外を見てる。

・・・大丈夫か、七海。いくら授業を聞いていなくても単語くらいは解こうぜ。

プリンは貰っておこう。さ、集中。

「終了。今日中に結果を配信しますね。今日の授業は終わりです」

強制的にテストのタブを閉じられた。あと一回くらい見直したかったけど、結果はかなり良い方だと思う。昼食の時にゆずに自慢しておこう。