第8話 最強の女騎士の鎧

#8.最強の女騎士の鎧


「剣と盾だけだと心配よね・・・」


最強の・・・とは言っても扱いが難しい

剣も盾もそれに見合った戦闘スキルが必要とされる

そこで私は考えに考えた


「よし、鎧にしよう」


鎧なら着てるだけで効力を発揮するので

剣や盾の様に使いこなす心配もない

セーブポイントで実質不死とはいえ、

痛い物は痛いし、避けられる物なら避けたい

移動呪文も移動アイテムもファストトラベル

なんかもないから、元の場所に戻るのも大変だしね


という訳で私は鎧を求めていつもの店を探すことにした


「これ下さい!」

「これは・・・・いいんですか?」


いつもと違い怪訝そうな顔をする店員さん

しかしそんな事はお構いなしに私は迫った!

店内にあった蒼と銀色の鎧に魅入られた私は

この鎧が身に着けてくれと言ってる様に聞こえたのだ

財布に鞄に靴、箸に茶碗等、持ち主に合う物は

その物と者が惹かれ合う等と言われている

私の場合、この鎧がそうなのだ!


「じゃあ、お代はここに!」

「うーん、やめといた方が・・・」


店員の忠告を聞く暇もなく鎧を着用して

店から出て行った



さっそく敵が現れた、ゴブリンだ

スライムに次ぐ雑魚モンスターである

さあ、こい!


キンキン! ボコスカ! ザシュ!


ゴブリン達が私に攻撃を仕掛けるがびくともしない!

この鎧で正解だった!私はそう感じた

すると・・・


敵のえんぐんがあらわれた!


おいおい聞いてませんよ、まあ余裕ですけどね

援軍に来たのはオーク

ゴブリン同様緑色の身体だが、巨体で

中級レベルのモンスターと言った所だろう


「さあ、どこからでもかかってきなさい!」

「グアアアアアアアアアアアアアア!!」


オークは力任せに私の腹を叩く

しかし衝撃は全て鎧が吸収し、私には一切届かない

オークは鎧を付けてない私の顔に殴りかかる

私は恐怖した。顔はやめて!ボディにして、ボディにっ!

しかし顔面への攻撃も鎧の加護なのか無効化されていた

今の私はまさにザ・無敵である




が、それだけである

なんと身体が動かないのだ!?

そしてオークの猛攻が続き3時間、

無駄な争いが延々と続いていた

そして私はついにあのセリフを口にしてしまう


「くっ、殺せ!」


できたらとっくにやっているという顔をしたオークは

ゴブリン達を連れて撤退していった

オーク達が立ち去る姿と夕日が重なって、なんか綺麗だった

(というか見えなくなるまで動けなかったし)


「これ、返金できませんか?」

「使用済みの衣服はちょっと・・・」



私は泣く泣くそっと道具袋に鎧をしまった・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る