第2話 セーブポイント

最強の剣と盾を手に入れたはいいが、所詮はJKセイバー

剣の心得も盾の極意もある訳もなく、ただそれを持て余していた


や、やばい死ぬかも・・・


とーとつに現れたモンスターに対し私はぶんぶんと最強の剣を振っていた

ようやく最弱のスライム的ななにかを倒したのはいいが、

もし相手がもっと強い奴がいたら殺されていたかもしれない

それ位私の戦闘スキルは低かった

(だってJKだよ!?当たり前田の缶コーヒーだよ!)


【カウンター】剣「799」盾「400」


街も村も見えず道なりにあるいていると見覚えのある建物がひとつ

そう”あの”アイテム屋さん”だ


もっと強くなりたい!私の注文はそれだった。


「それならこちらなら如何でしょう」


と渡されたのが水色のクリスタルだった


「これをどう使えばいいんですか?」


と尋ねるも


「お使いになれば分かりますよ」

といつもの返答。そして問い詰める暇もなく定時退社であった。


こんなものどう使えばいいのよ・・・アクセ?装備すればいいの?

でも装備ってどうやるのよ・・・

現実とゲームは違うのだなぁとしみじみ思っていたその時である


グギャアアアアア!


「ひぃっ!」


今度の相手はいつもと違う、リザードマンだ

リザードマンはいわゆるトカゲの戦士である

普段相手にしているスライム君とは格が二つも三つも違う


目が合うと同時にその手に持った剣で襲い掛かって来る!

盾を構える私、しかし間に合わなかった・・・


「私死ぬの・・・?こんな所で?」


リザードマンの剣がお腹に刺さった瞬間、持っていたクリスタルが輝いた

その時不思議な事が起こった

クリスタルの上空に魔方陣が描かれると、そこから私は落下した

落下しただけなのでダメージは浅く、すぐ払いのけられてしまう

そしてまた刺される。そして輝くクリスタル。そして落ちる私


無限ループって奴なのかなぁ・・・

36回位同じ事を繰り返しようやく気付いた私

37回目・・・リザードマンに落ちると同時に剣を構えて突き刺した


「えいっ!」


グギャアアアアア!


強烈な悲鳴と共に倒れこむリザードマン

ふぅっ・・・と汗をぬぐいつつ勝利の美酒に酔いしれる私

どうやらこのクリスタルはセーブポイントの様な物らしい


街や村なんかに置いちゃうと盗まれちゃうよね、

等と思案した結果、人気の無いここに埋める事にした。

これで負けてもへっちゃらだよね♪(^_-)-☆

そう思い込む事により死への恐怖を頭の隅に追いやる私であった


【カウンター】剣「779」盾「400」




吾輩の名はデッドマン、死人を操る死霊術師である。

今夜も新鮮な死体を求めて街をぶらつこうと思ったが、

今日は気分を変えて人のいない荒野をぶらつく、

冒険者の死骸というのも乙な物だ


バサっバサっと何かが落ちる音が聞こえて来た


「何の音だ?」


音のする方に向かうと

何体も何体も何体も何体も何体も何体も何体も何体も

何体も何体も何体も何体も何体も何体も何体も何体も

何体も何体も何体も何体も何体も何体も何体も何体も

何体も何体も何体も何体も何体も何体も何体も何体も

何体も何体も何体も何体も何体も何体も何体も何体も

同じ顔、同じ体の少女の死体が山積みにされていた


「うっ・・・」


思わず鼻をつまんでしまいたくなるような腐敗臭がする

これだから鮮度の落ちた死体は嫌なのだ

そこでデッドマンに天啓がくだった

あの大量の死体を我が物にすれば大量の死霊軍団が作れると!

彼は死体の山に近づくと分析を始めた


「死因は毒死、刺殺、絞殺、撲殺、焼死と様々であるな・・・」


「ん?」


分析に夢中で気付かなかったのだろう、死体の山の上に魔方陣が現れ、

”追加で大量の死体”が送られて来た

山は崩れ雪崩と化し彼は押しつぶされてしまった

数十という死体の山である、それが如何に華奢な少女の物であっても

人の耐えられる重さではなかった


「む、無念・・・」と口にする事もできず、彼は圧死した



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