揚げ物とビールと烏龍茶

マイクロバスのような大きめの自家用車に乗っていた。

見覚えのある道を通る。帰ってきたんだと懐かしい気持ちになったが、バスはまた別方向へと進んでいく。

子供たちを降ろすために南大沢に行くんだなと思った。


南大沢よりも少し前、マンションの手前でバスは止まりかける。入り口が紙の障子でできている洒落たマンションだ。

子供たちはバスが止まる直前で扉を開け、そのまま降りてしまった。

「車が止まる前に外に出たら危ないよ」

そう注意したんだったか、注意しなくてはならないと思ったんだったか。


気がつくと、バスを降り、付近を散策していた。

居酒屋があるので入る。ラジオで紹介しているところによると、この人物は芥川賞受賞作家らしい。

その居酒屋は一階はカウンターのみで、二階に座席がある。食券機は一階にあり、いちいち食券を買ってから注文しなくてはいけない。しかも高い。

私は一度行ってから、もう行かないことにしていた。


二階席の近くにも、どんどん食べ物が並べられていく。値段も貼られる。200円や300円で揚げ物を買うことができる。

中には、ワンコインコーナーと銘打たれ、100円の商品もあった。唐揚げやイカフライなどだ。

これは断然いい。私も今度行ってみようと思った。


熱いのでジャケットとシャツを脱いでから、飲み物を買いにいく。

ピッチャーだかボウルだかに烏龍茶を入れ、その中にビールを注いでもらった。烏龍茶とビールはピッチャーの中で分離し、ビールはビールだけが固まって、烏龍茶の中心で柱状に泡立っている。

大ジョッキサイズ分くらいを注いでもらう。


席に戻った。ジャケットとシャツが置いてある席だ。

急に寒くなる。今は何月だ? まだ8月だよな。

そういえば台風が来ているんだっけ。外を見ると空模様が怪しかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る