死後の世界は……
いつの時代だろうか。死んだお坊さんが目を覚ますと、現代のような世界だった。
お坊さんはこの世界を何者かの精神世界だと思っているようで、この世界がどういう構造なのかわかっているとしたり顔で呟く。
そして、足元の亀に、古いリボルバーの拳銃を突きつけた。
本棚が並んでいた。その様子をモニターが一瞬映す。本棚には漫画がズラッと並んでいた。巻数の揃っているものが多かったが、うしおととらはまばらにしか置いてなかった。
少女が一人で暮らす部屋の中で、何かが落ちてきていた。それは本だったりガラクタだったりと雑多なものだ。
少女は「私の城に……」と口惜しそうに呟く。
画面を覆うほどに大きいテロップが表示され、「一人暮らしの女子中学生に何が?」と書かれていた。
お坊さんが拳銃を突きつけている相手は、中年の作業員のような男になっていた。お坊さんは怒りに満ちた表情で男に向かって説教をする。やがて男は殊勝な態度を取り始めるが、それでもお坊さんは銃を撃とうとする。
しかし、ついにお坊さんは拳銃を収めた。すると、男はお坊さんを殴り始めた。お坊さんは倒れながらも再び拳銃を握り、弾を込め、安全装置を外す。その間にも男の暴力は続く。
銃は暴発し、男に当たることはない。もう一度弾を込め、さらに撃つが、すでにお坊さんはふらふらになっており、やはり男には当たらない。
お坊さんは血まみれになりながら街を歩いていた。片腕がもがれており、ただ血を吹き出すばかりだ。
お坊さんはこの時代の人でないため、交通ルールがわからない。赤信号の横断歩道を渡ったり、ふらふらと車道に飛び出たりしていた。
田舎の道とはいえ交通量は多い。何度も車が通りがかったが、なんとか轢かれずにすんだ。
通り道に土佐っ子信金という銀行があった。どうやら高知県のようだ。
お坊さんは次第に交通ルールを把握し始め、青信号を渡るようになっていた。
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