ゾンビ終末紀行

ゾンビが世界中に蔓延しつつあった。


まずゾンビになったのはおばあちゃんだった。おばあちゃんはスプーンとフォークで武装している。近づくのは怖いので、スプーンとフォークを投げつけて逃げた。

母が逃げるための避難用品を用意してくれていた。しかし、彼女はすでにゾンビに感染している気がする。

私はひとり逃げだした。


それはそれとして、家に戻り食事をしていると弟がゾンビ化した。

私は有無を言わさず体当たりし、奴を押しつぶす。もみくちゃになり、爪で引っかかれたがなんとか逃げる。


ゾンビは高いところや遮蔽物を通ることができない。私はベッドをボート代わりにして移動していた。

どうやら、ゾンビに噛まれたり爪で引っかかれたりすると感染してしまうようだ。しかし、私は一向にゾンビ化しない。主人公補正のようなものなのだろう。


ベッドに乗り水路を進むうち、研究所にたどり着いた。自分がゾンビでないこと、近くにゾンビがいないことを認めてもらい、研究所に入れてもらう。

しばらく話を聞き説明を受ける。ここが人類の最後の砦のようだ。


背が高く、妙にテンションの高い中国人研究者に挨拶される。彼はほかの基地と通信し、事態を打開するシステムを開発しているという。そのシステムを見せてもらうことになった。

大仰なコンピューターに通信画面が表示されるが、その中に一瞬ニルスという名が出現した。

知っている名前だった。少し前にオンラインゲームで共闘した女性だ。私は彼女の所在を尋ねた。

中国人研究者は近くに置かれていた死体を横目で見ながら答える。


「彼ならそこで死んでいる」

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