人類誕生の謎と夢ならではの機転

ホテルの一室で、私は仲間とともに何者かを待っていた。

やがて、二人の男が訪ねてくる。

「待て、一人だけで来る約束だぞ」

そう釘を刺すと、男たちは立ち去り、やがて一人だけが戻ってきた。その男を部屋に招くと、チェーンロックを施錠する。


入ってきたのは、背が高い、というよりは巨大な男だった。顔は陰湿で朴訥としており、どこか得体のしれない印象がある。

私は石版を取り出して男に見せた。それは古代遺跡から発掘されたもので、人間の頭蓋骨を石版状に加工したものだった。その骨の特徴は現在の人類と明らかに異なる。

「それは我々の種族のものだな」

男は言った。

やはり、と私は得心する。男の不気味さは人類でないゆえのものであったのだ。

続いて、文庫本ほどの大きさをした石版を取り出す。

「これも――――だ」

男は驚くべき真実を言ったようだが、どうにも内容を思い出せない。


ドアの向こうから気配が近づいてきた。もう一人の男が戻ってきたらしい。

ドアの向こうの男は尋常ならざる力で扉を破った。さらに、チェーンロックを引き裂こうとする。

私は咄嗟にドアを押さえると、仲間に銃を撃つように指示した。

しかし、一向に仲間は銃を撃たない。パニックになり安全装置が外せないのだろうか。ドアを押さえ続けるのも限界に近づく。


やがて銃声がする。安堵して振り返るが、銃を構えていたのは人類ならぬ男だった。

状況を悟った私はドアを死守することを諦める。男を避けて部屋の奥へ走り、窓ガラスを割ると、外へと飛び出した。


ここはビルの上層である。飛び降りたら、とても助からない。

しかし、これは夢である。私はジャッキー・チェンのごとくビルを駆け下りる。


いや、さすがにリアリティがないかもしれない。

部屋から飛び降りると、持っていたビニール袋をパラシュート代わりにゆっくり落下する。


これも無理があるか。

運良くちょうどヘリコプター……、いや飛空挺が通りかかったのだ。

私はどこか別の大陸……、そうだな、オーストラリアに連れていかれることになる。


それはそれとして、小原乃梨子はすごい声優ではないだろうか。

のび太は小学4年生として違和感ないし、ドロンジョ様は色気のある悪役として特徴的だ。それでいて、両者の声質は大して変わっていない。

演技力があるのだろう。


オーストラリアに向かっていた私だったが、飛空挺の持ち主に見つかると追い出されてしまった。太平洋(?)のど真ん中でボートに乗って漂うはめにおちいる。

せちがらい世の中である。


海を漂っていたはずが、気づくと渓流を降っていた。しかし、ボートが大きすぎて岩に引っかかり、何度も同じ場所に戻ってしまう。

そうこうしているうちに追っ手がやってきた。

慌てて進もうとすると、必死になればなんとかなるもので、スムーズに流れていくようになった。しかし、ボートには水が大量に入り、なかば溺れているようになる。


そんな中、追っ手は追いついてきており、私に向かって機銃を浴びせかけた。だが、なぜか弾丸は一発も当たらない。

私には腑に落ちるところがあった。

私は手を延ばすと、機銃の銃口を指差した。やはり弾丸は当たらず、やがて弾切れとなる。

私は納得した。どうやら何者かの意志が私を生き延びらせ、人類誕生の謎を暴かせようというのだろう。


とはいえ、もう起きなきゃいけない時間だし、続きも思いつかないから、ここまでだな。

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