第11話#11.反省会
#11.反省会
女神のいた空間に飛んだ少年とナーロウ
椅子に付いた女神、少年、ナーロウ
減らない紅茶と気まずい空気が流れている
「で、何か言いたい事は?」
最初に発言したのはナーロウだった
うつむいた少年は顔を上げて必死に訴える
「お、俺のせいじゃない!俺は悪くない!」
「うむ、その通りじゃ」
「え?」
予想外の解答に驚く少年
「異世界転移や転生はチート力や生前の記憶でただでさえ慢心や野心が生まれて外道になりやすいのに、それを碌に調整もせず送り出したんじゃ、
暴走するのも当然じゃろうて、のう女神様よぅ」
「え、私のせい?」
「たりまえじゃろうがい、最初から最後までぜーんぶお主のせいじゃ」
「そ、そんなぁ・・・」
女神に呆れた様子でお説教するナーロウ、
そして話題は次の段階に移る
「で、この少年、元の世界には帰れるんかのう?」
「チート力なんかもういらない!だから帰してくれ!」
問い詰めるナーロウ、懇願する少年、そして冷や汗ダラダラの女神
「えーと、女神学校でそこまでは習わなかったので・・・」
「神は一人って自分で言ってたろうが」
すかさずツッコむナーロウ、うろたえる女神
「え、俺やっぱり帰れないんですか?」
涙ぐむ少年、しかし希望はまだあった
「元の世界には帰れんが、それに近い事はできるぞ」
「ほ、本当か!」
「そうじゃ、ほれ」
ナーロウの指輪が緑に輝くと宙に浮いた小さい球体が現れる
どうやらそれは地球の様だ
「ま、ダミーだがの。誤差99.9%のコピー世界じゃて」
「こ、こんな手があったなんて・・・!」
ナーロウの発想に驚く女神
転移する直前に送り込んで元の生活に戻れるという訳だ
しかし・・・
「言っておくがこの星に天国も地獄も異世界もないからの」
「・・・・・・」
無言で聞き入る少年。
「転生も転移もない。死んだらそこで終わりって訳じゃ」
「でも偽物とは言っても殆ど本物に近いんですよね?」
「ま、多少の誤差はあるがの」
悩む少年。しかしもう異世界には行きたくない
また自分が暴走して誰かを傷つけてしまうかもしれない
異世界で現代の知識を無意識に利用してしまうかもしれない万能感
チートな魔力でも横暴な自分になってしまう可能性もある
「お、お願いします!俺、偽物でも地球に戻りたい!」
「じゃ、決まりじゃの」
ナーロウが指輪をかざすと緑色に輝き少年は消えた
ある意味異世界転移である、が問題無いだろう
「こ、これで一件落着ですねナーロウ様!」
「おいおい、まだお主への説教が終わっとらんぞ」
「そ、そんなー(+_+)」
その後小一時間の説教と大量の始末書を書かされた
駄女神様であった・・・
―偽の地球―
無事偽の地球に転移した少年は
現代世界に戻れた事を喜んでいた
見慣れたビル、クラスメイト、そして両親
全てが元通りになったのだ
「・・・でも偽物なんだよなぁ」
少年の心には小さい穴がぽっかり空いていたのであった
~光のチート魔術師編~
-完-
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