第10話#.10魔術アカデミー入門テスト~開戦2~

#.10魔術アカデミー入門テスト~開戦2~




「はあああああああああああああ!」

残った片腕で闇の力を込めた愛刀「タケミツ」を手に切りかかるナーロウ


「光光光光光光光光光光光光光光光光!」

今度は両手で大量の光線を放つ少年

俗に言う「グミ撃ち」である

正面の光線のみ切り裂き、傷つきながらも少しずつ確実に近づいていく

ナーロウ


「いい加減に・・・・せい!」

闇を纏った愛刀が少年に襲い掛かる


「光ィ!」

が、しかし少年の光に覆われた体はそれを弾く

そして闇の刀は折れて刀身が吹っ飛んだ


残った柄を片手に苦笑いするナーロウ、


「へへっ・・・きっついのう・・・」


そして覚悟を決める


「こうなったら・・・最後の手段じゃっ!」


折れた闇の刀を腹に刺すナーロウ、

華奢な女性の身体が石の様な皮膚に覆われ石の翼を8枚生やす。

顔も悪魔の様な顔に変貌した

ひび割れた皮膚の内側からは煉獄の炎が見え隠れしている


「コノスガタニナッタラ、テカゲンハナシジャ!」


折れた刀身の代わりに柄から闇の刃が発生する

同時に彼女の周りに闇の球がいくつも出現する


「光よおおおおおおおおおおおおお!!!」


「グラアアアアアアアアアアアアアア!!!」


極限まで達した光と闇の力が交わり、膨大なエネルギーが発生する

それは大爆発を引き起こす

ナーロウが予め張っておいた闇の障壁が爆発被害を局所的な物にする

爆発の煙が晴れた後、大の字に横たわる二人の姿が


「はあはあはあ・・・」


そして審判役の女教師もその場にいた

やや離れてはいたが瀕死の状況である

他にも放たれた光で校舎にも観客にも教師にも生徒にも、

なにかしらの大被害が及んでいた

一方ナーロウの攻撃先にはあえて何もなかった


「こ、これを俺が・・・?」


「その通りじゃ、ちったぁ反省せぇよ・・・」


「ううう・・・」


光の拡散や連射で傷を負った勧誘していたエルフの少女と

審判役の女教師が会場と観客席で倒れ込んでいる


「大丈夫!?」


少年は近くでうめいていた女教師を跨いでエルフの少女の元へ向かった


「・・・・・・」


跨がれた女教師は無視されて呆然としている

そして彼女に寄りそうナーロウ


「アラサー女教師にヒロイン属性はないみたいじゃな、あやつ的に」

「なっ!?」


いきなり失礼な事を言われて痛みを忘れて驚愕する女教師

しかしこれは性的趣向とか好みの問題と言うのではなく

彼女には本当に”ヒロイン属性が無い設定”なのだ

少年が彼女を無視したのもヒロインにしか対応しない設定だったからだ

この設定は転移者・転生者特有の物で病気の様な物とも言える


「とりあえず直しておくかの」


ナーロウが指輪をはめた手を掲げると緑色に光りだす

その光に触れた人や建物、動植物が元通りの姿に癒されていく


「よ、よかったありがと―」


バチン!


ナーロウは平手打ちを軽く少年にかますと

少年と共に消えた


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