第7話#7.伝説の剣?渡せません

#7.伝説の剣?渡せません



「この剣を台座より引き抜いた者を勇者とする!」


王城の兵であろう鎧姿の男達が厳重に剣のささった台座を警護し、

周囲に呼びかけている


「俺に任せろ!」

「私が」


熊の様な大男が駆け寄ろうとしたのを遮りメイドが前に出る


「レディーファースト、でよろしいでしょうか」

「あ、ああ―」


大男の返答を聞くまでもなく剣を抜こうとするメイド


グググッ


しかし抜けない


「がっははは、当然だな!次は俺様―」


「では台座ごと」


メイドは指先から細いレーザーを出すと、

剣の刺さった台座の周囲をまるでアイスの様に円形にくり抜いていく


「よいしょっと」


剣の部分を持ち手にして台座ごと引っこ抜いたメイド

メイドは周囲のざわめきを無視し警備の兵士に顔を向ける


「ではこの剣は私が抜いたという事で」

「だ、だだだめに決まってるだろう!ノーカンだ!」


メイドはふむ、と少し悩んだそぶりをみせた後、台座を元の位置に戻す

安堵する警備の兵士や野次馬達


「ではコレには消えて頂きましょう」


メイドは今度は台座を両手で抱え持ち上げると

遥か彼方まで剣と台座を放り投げた

肉眼で追えない空の彼方まで・・・


「おう飛んどる飛んどる」


ようやく追いついたナーロウがメイドに拍手を送る


「ナーロウ様、対象のパワーアップ要素の排除、完了致しました」


どうやら少年の伝説の剣入手イベントを阻止したかったとの事

顔に似合わず凄い力技だ

「で、転移した少年は?」

ナーロウが聞く

「それならあちらに・・・」

メイドは自分の周囲に目をやると少年は消えていた


「魔術アカデミー入門テストはこちらでーす」

バニーガールスタイルのエルフが近くで声をかけている

(ちなみに巨乳である)

そこにはふらふらとついていく少年の姿があった

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