第43話 グループ決め②

俺が、振り向くと、頬に細い何かがあたった。


「あははは。メガネくん、ひっかかったー!」


俺の頬に、人差し指を付けながら笑う、仕田原理子の姿があった。


「.............。」

俺は、こう言ったとき、どう反応すれば良いのか分からなかった。

やはり、男女の距離感を知らない人だ。





あははは。


一通り笑ったのか、涙を拭いながら、彼女は言った。

「一緒に、グループになろ!」

「え。」


「学級委員同士、一緒にいた方が何かと、都合が良いでしょ!」


「あ、ああ。」

確かに、彼女の言うことにも一理ある。



「よーし、これで男子1人、確保!」


「で、でも、良いのか?

こんな俺が、お前のグループに混ざっても.............。」




「ん?

どこか、入りたいグループあった感じ?」


無理強いしちゃった?と尋ねてくる。


「いや、特に無いけど。

い、嫌じゃ無いのか?」




「じゃ、問題なし!

私たちが、誘ってるのに、嫌なわけ無いじゃん!」




ねー。

そう振り向いた彼女の背後から出てきたのは、伊世早美優と井勢谷桜だった。



「うん。」

「ええ。問題ないわ。」


!!!

ここで、妹現る。



「いやー。

声かけた皆、もうグループ出来ちゃってて、私達、余ってたんだよねー。


メガネくんが初めてOKしてくれたよ。」


ありがとう、と、青い髪を揺らし、座っている俺に顔を近付けてくる。



仕田原理子、伊世早美優、井勢谷桜この3人はクラスの中心人物である。

人気者であるがゆえに、おそらく、一緒にグループを組むというハードルが高かったのだろう。

別に、組むのが嫌だとかではなく、ただ、おそれ多いと近付けないのだ。





残り福ってこういうことなのか。

まあ、3人中、2人は妹なのだが.............。



いや、そもそも、こんな中心人物に俺は近付いて良いものなのか?

出来るだけ、目立つ行動は避けるつもりだ。

しかし、返事をしてしまった今、やっぱり、やめますなんて、言えるわけない。



はぁ。

次は、もう少し、回りをよく見てから、返事をしよう。




「はいはーい!!

俺、俺もそのグループ混ざっていい?」


そう、元気よく、青山智明が近付いてきた。



「全然OK!

よっし!

2人目ゲット!

他に、余っている男子はいないかね~。」



キョロキョロと探す。

教室は、大分、グループが出来上がっているのか、固まって座ったり、話に夢中になっていたりと、誰が余っているのか、見分けがつきにくくなっていた。




「あの、よかったら、僕も仕田原さんのグループに入りたいな。」


そんな人の合間をぬって、やってきた。

イントネーションの付け方が皆と違った。

京都よりの、関西弁っぽい声が聞こえた。


保健委員の佐々木樹だ。






「いいよー。

やったー!

せんせーい!

私達のグループメンバー決まりましたー。」


仕田原理子は、すぐに承諾すると、メンバー表に、俺たちの名前を書き込みに行った。


そして、すごく強引に、メンバーになったのであった。

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