くり

北山双

くり



連絡がつかない恋人の家を訪ねると、なまぐさく甘い香りが充満しており、恋人は節くれた枝が絡みつくベッドにいた。

下腹部が張り裂けそうに膨れ、絶え間なく蠢いている。

栗を食べたの、と彼女が荒い息をしながら呟くと、腹が一際大きく脈打った。

悲鳴とも嬌声ともつかない声があがる。


腹が裂け赤くどろどろした塊がまろび出る。

そいつは僕の体に絡みつき四肢を這い、目と唇を覆いつくした。口腔にねっとりとした甘いものがねじ込まれ、一杯に広がる。

何とか舌を動かしそれを飲み下すと、温かな塊が喉を下り、胃を焼き、下腹へと染み込んで行った。


同時に、彼女もこうして孕まされたのだな、と思った。

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くり 北山双 @nunu_k

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