中学生活
第38話 二学期の始まり
メチャクチャ長かった様な気がする夏休みが終わり
今日は始業式
久々に袖を通すブレザーに懐かしさを想い、少しずつではあるが過ごし易くなったと、朝の気温を体で感じながら学校へ向かう
「なんか夏休みもあっとゆう間だったね~」
「そうか?なんか凄く長く感じたけど…メッチャ色々遇った気がするが?」
気のせいか…?
隣を歩くのは我が自慢の妹の咲夜
腕を絡めて来るのは今更だが、まだ暑いんだよ!朝から汗かきたくないよお兄ちゃんは…
9月って残暑なのか?昼間なんて未だ夏真っ盛りじゃね?
「あはは~まぁ夏休み初日にお兄ちゃんが倒れるなんて思ってなかったしね~」
「そうだな…入院もまぁ夏休みの良い思い出になったんじゃないか?」
「あぁ~確かに思い出にはなったかもねぇ」
等々、夏の思い出に耽りながら、朝の散歩さながらの通学に華を咲かせる
学校が近くなりチラホラと学生が増え始め、何故か二度見で立ち止まりこちらを凝視する視線に煩わしさを覚えるが一々反応してたら面倒くさいだけなのでスルー推奨
昇降口の下駄箱に着き咲夜と別れる
「じゃお兄ちゃん、帰りも待ってるからねぇ~」
「そうだな、此処で良いか?」
「あっうん」
「じゃ」
階段を上がり久々感溢れる教室へ向かい3年C組の扉を開け
「おはよう」
と、入室するが…
「「「「「「「‥‥‥‥‥」」」」」」」
あれ?
既に何名か登校してるであろうクラスメイトがフリーズ中
(あーそっか以前の俺はそんなキャラじゃ無かったんだっけ)
まいっかそのうち慣れるだろ
そんな事思いながら俺の席、窓際の一番前に着く
◇
「おっはよ~」
「あっ咲夜様。お早うございます」
「お早うございます咲夜様」
「お久しぶりです咲夜様」
「———」
キャイキャイと咲夜様が連呼する中
「あの?高柳咲夜さんですか?」と
「ん?あなたは?初めましてかな?」
《咲夜さん》の言葉にクラス内の空気が冷え切ってる事に気づかないその女子は
「私は
「あーお兄ちゃんが雇った糸井さんの娘さんね?だったら私達も仲良くしないとね!これから宜しくね稽ちゃん♪」
「失礼とは思いますが馴れ馴れしく名前で呼ばないで貰えますか?」
「っ!?」
「あなたっ!?」
「———ちょっ!?」
「うちの家族が苦労してるのに、のうのうと…お嬢様気分ですか?随分良い御身分ですね…貴方には私がどれだけ苦労したか理解出来ないでしょうね?お母さんもおばあちゃんも常に辛そうで、その心配をしながら家事や看病を…私だって遊びたいのに——!」
私が—どれだけ我慢したか…お母さんにおばあちゃんに
「そっかお母さんから聞いて無いのね?安心して。これからは我儘も欲しい物もそれこそ住む所も少しの贅沢も…出来るようになるから…だから安心しなさい!あなたは高柳家の仲間なのだから…お兄ちゃんが絶対守ってくれるから…直ぐに分かるから、もう頑張らなくて良いから安心して…今まで頑張ったね…」
って抱きしめられ頭を撫でられたけど。辛かった思い、母さんに言われた言葉とか、失礼の無い様にとか、ふざけんな!!って
だけど優しく抱きしめられた…安心してって言葉で…
「あの…咲夜さん…?ほんとう…に?」
「あー帰ったらお母さんに詳しく聞くと良いわ、それで解るわよ。それから何か困った事が有ったら私に言いなさい。良い?あなたはもう高柳の関係者なのよ?今は理解出来ないかもしれないけど、あなたはもう私の身内なの!それを理解して貰えると嬉しいわ。そして、これから宜しくね稽ちゃん」
「えっと…わたし…まだ理解出来なくて…その…」
「そっかぁ。じゃ帰りにお兄ちゃんを紹介するよ!そこで色々ぶちまけたら良い!何が不満なのか、何が気に入らないのか全てぶつけて良いよ!大丈夫だから。何なら家が欲しいってお願いしてみたら?お兄ちゃんは全て受け入れてくれるから絶対大丈夫…ただし!抱き着くのはダメだからね!!」
えっ?家?欲しいって言ったらくれる物?えっ?お嬢様気分じゃなくてホントにお嬢様?あれっ??
◇
「待たせたか?」
「ん、そんなことないよ」
「そっか、じゃ帰るか」
「その前に、この子糸井さんの娘さんなんだって。だからお兄ちゃんに紹介しようと思って」
「糸井さんの?…そっか、初めまして高柳冬夜です。お母さんにはこれからお世話になる予定かな?これから宜しくね」
「‥‥‥」
「ほら稽ちゃん」
「えっと‥‥‥」
男性を前に言葉が出なかった…
「んっとね稽ちゃんって色々苦労とか頑張ってたみたいなの、だからこれからは、中学生らしく過ごして貰いたくて楽しんで貰いたいのね、だからお兄ちゃん。今だって狭いアパートらしいし…」
「ん?それなら心配ないぞ。糸井さんとそのお母さん?にはしばらく病院に通院してもらう予定だし、その費用も俺が負担するし、うちの仕事をしてもらう為に近所の空き家とかマンション探してる所だよ。糸井家のサプライズに温泉旅行を計画中だ!」
え?
「えっと…お兄ちゃん完璧すぎて何も言えないんだけど…?」
「ん?うちの仲間だろ?大事にしないとな」
「えっと…そうじゃなくって…」
「あー糸井さんは会社とも契約して貰うから、大変かもしれないけど」
「え?そうなの?」
「まー基本俺の送迎だけだからなんともな~、長時間じゃ無ければ腰の辛さとかって言ってたからまずそれを何とかしないとだなぁ~。彩先生紹介したから治って貰えればってカンジだけど…」
えっと?
「そんなに辛いの?」
「いやぁ~全く解らん…だから1か月は心と体の治療に専念する様にって言っておいた、取り敢えず生活には困らないようにお金は振り込んでおいたけど…出来れば完治してくれば文句なしだな」
えぇぇぇー?
「その?お金って?」
「ん?うちに努める為の準備金だぞ。色々必要だろう?」
「ちなみに…金額聞いて良い?」
「あー…500」
なっ!?
「解ったかな?稽ちゃん…?」
チラリと振り返った咲夜さんがドヤ顔で
「さっきは言い過ぎました。ご免なさい咲夜様」
だってしょーがないじゃん!
『失礼が無い様に』って言われただけだし!
チヤホヤされてる同い年の女の子に嫉妬くらいするじゃん!
好待遇どころじゃないじゃん!
人生一転してるよもう!
お母さんが言ってた事今更理解したよ!
やだもぅ…恥ずかし過ぎる‥‥‥
「咲夜、お前咲夜様なんて呼ばれてるのか?」
「あっ!?…それは美佳ちゃんが言い始めて‥‥‥その…それからクラスのみんなが…」
「美佳ちゃん?あー川端さんか…ん~だったら成ってみるか?咲夜お嬢様?」
「えっ?」
「つーか咲夜って将来やりたい事って有んのか?ぶっちゃけ俺と母さんが居れば、咲夜が働く必要って無いよな?そして川端さんとかを家政婦さんとか使用人さんとかにクラスチェンジすれは咲夜お嬢様の完成じゃね?娘さんも側付っぽくなるし…制服作るか?…咲夜お嬢様育成計画…面白そうだな」
「ちょっ!?」
「あ!私も参加します!!」
「よし稽!付いてこい!!」
「はい!」
「帰ったら川端さんに相談するぞ」
「やめてーーーーーー!!」
「良いじゃないですか咲夜様」
「良いじゃないか咲夜お嬢様」
「ちょっ!?」
付いて行ったお宅はとっても大きな御家だった
恐縮しながら入ったリビングにビックリで、薦められたソファーなんか座るのを戸惑う位の高そうなソファーで、『失礼します』と腰を落としたら埋もれる程の柔らかさに驚いた、背もたれが無かったら後ろに転げてたかも?なんて思いながら
ソファーに座ったところで
「俺は着替えて来るからし少し待ってて」
「あ、あたしも着替えて来るー」
と、…置いてかないでと想いながらも見送るしかない状況
戻ってきた冬夜様はまさかのスウェット上下でした!まさに部屋着!すんごい適当っぽいけどなんか雰囲気があって…「おまたせー」と、その後に戻って来た咲夜様はダメージが入ったであろうジーンズと真っ白なシャツで、思わず見とれてしまいました。正にお嬢様です!理想の女性を見た気がします。お金持ちのご家庭を見た気がします!私が同じ服を着ても只の貧乏人でしか無いような気がします
そんな時
「失礼します」と、入って来た女性に目がいった
トレーを持ってるにも関わず背筋が伸び堂々と…
「あ、川端さんに少し相談があるので川端さんのお茶も用意して貰っていいですか?」
「私にですか?…解りました、ではもう少しお時間頂きます」
なんか凄く真面目そうな人でした。少しキツイ感じもしますが。でもなんか…この家の人って凄くわかる気がします。私ももしかしたらいつか‥‥‥
「お待たせしました」
と、お代わりようであろうポットを持って
「あぁ座って下さい」
冬夜様が席を促せば、私の隣に腰を下ろしました。多分私がお客で無いであろう事を理解してるのでしょう
「まず隣の女の子なんですが今度俺が雇うことになった運転手の娘さんで糸井稽さんです。まぁお互いの挨拶は改めて。で、ここからなんですが咲夜が学校で咲夜様と呼ばれてるらしいんですよ…切っ掛けは川端さんの娘さんらしいですけど」
「うちの娘が…ですか?」
と、何やら厳しい表情で
「あーそれは気にしないで下さい。むしろそれが本題です!川端さん、うちの使用人とか家政婦とかにジョブアップする気はないですか?美佳を咲夜の側付っぽくして、そしてこの稽も咲夜の側に置きたいって思いまして。家業を手伝うなら年齢関係無いし、出来れば制服もとか思いまして…そして咲夜お嬢様育成計画始めようかと…面白そうで」
面白そう…で、言い切った冬夜様はとても素敵な笑顔でした
その横でめっちゃ照れてる咲夜様はとても可愛らしいです
「なるほど咲夜お嬢様ですか…それは中々面白そうですね。うちの娘にも伝えておきます」
「そうですか、手当とかの話は俺が母さんに伝えてるから心配しないでね。それから制服なんだけど佐々木さんにお願いしようと思って、希望とか有れば伝えてほしいかな?もしかしたら採寸に行かないとかも…あの人拘るから…」
「そうですか?解りました」
「あと、この近くに中古でも良いので戸建て探して貰えませんか?糸井さんには通勤に近い方が良いと思うので」
「解りました」
家を探せ!と言える人が本当に居るとは思いませんでした。にしても咲夜様、真っ赤な顔して冬夜様に抱き着いて…めっちゃ可愛いです!
出来ればその立ち位置を私と交換して頂ければ‥‥‥無理ですね。ハイ!
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