第30話 勉強会
『——わたしもぉ~♪』
どう?母さん?
ピアノ届いたし唄ってみた
「ぐすっ…冬夜君は居なくならないでね」
「何言ってんの俺は母さんの息子だよ?ずっと側に……でも無理はしないでね」
「うんっ♪」
うん、だからパジャマ姿で俺のベットに入るの辞めてね!
さて今日は三人娘が来る予定だが
俺の家に来るってのを目的にし過ぎて勉強忘れたらちょっと怒鳴ってもいいよね?
コンコン
「冬夜様。お客様がいらっしゃいました」
「あ、うん、三人の女の子だよね?」
「えっと…えぇ」
ん?
「ん?どしたの?」
「えっと…その…恐ろしく似合わないスーツ姿の女性達だったもので」
ん~っと‥‥‥
「あーっと変な感じに気合入ってる感じ?」
「その…そうです」
「そっかぁ~まぁいいや案内してください。あっ咲夜も呼んでね」
「「「お邪魔します‥‥‥」」」
と、部屋に入って来た三人娘衆はリクルートスーツだった。
「いらっしゃい‥‥‥テーブルに案内するよってそれで、えっと、念の為聞いていい?なんでスーツなの?」
「えっと…お母さんが‥‥‥」
「気合入れて行けと‥‥‥」
「失礼の無い様にと…」
おかしいな?
ウチの商品にスーツなんて無かったハズなのに‥‥‥
まぁいい
「取り合えず掛けて。まずは勉強しよっか、何から始める?苦手な教科から?」
って勉強会って何すればいい?
一人で勉強してても特に困った事無いしなぁ
「お兄ちゃんここ教えて」
「あーそれな、そこはxから代入するんじゃなくてxを元にするんだよ」
「へ~、解ったやってみる」
◇
あれ?
緊張して勉強会に来た物のこの兄妹は何の勉強をしてるんだろう…
もしかして咲夜ちゃん私達より勉強できるの?
話聞く限り受験じゃない!?
えっ?
さんかくかんすう?びぶん?なにそれ?
甘いお菓子か何か?
この兄妹の勉強風景に圧倒されて自分たちが今日此処に来た事が後悔でしかない‥‥‥
香奈も弘美も俯いちゃって何も聞くことが出来ない!
恥ずかしい‥‥‥
『一緒に居たい!』
って何も努力もしてないのに
咲夜ちゃんのチラッっとしたドヤ顔
受験勉強をしてると思ってた私に腹が立つ!
今まで私は遊んでたつもりは無かったけど、周りが甘かったのかな?
年下の女の子に勉強でドヤ顔されるなんて‥‥‥
でも、そっか…咲夜ちゃんは再来年か
今も受験戦争なんだね‥‥‥
そうだよね
三桜だもんね
再来年は冬夜君も居るんだよね
高校受験如きじゃないとダメなんだよね!
妹だから羨ましいって
妹だからズルいって
妹だからって‥‥‥‥‥
妹だから頑張って戦ってるんだね!!
だから
「咲夜ちゃん私も頑張るね!」
「‥‥‥‥‥えっ?努力するのって当たり前じゃないの?」
クッ!?
恥ずかしい‥‥‥ドヤってしまった
やってから言えよ!だよね
そして咲夜ちゃんその考えに共感できる人は少ないのよ…
その考えが
その姿勢が
その努力が
多分だけど冬夜君の妹‥‥‥
周りの目はそれが当たり前‥‥‥
冬夜君が色々頑張ば頑張るほど咲夜ちゃんは頑張ればならなくなる
私達なんて
側に居られれば程度だけど
咲夜ちゃんはきっと違う
ずっっっっと側に居られる為に必死なんだろう
私なんかが理解出来ないくらい
どれだけ頑張れば咲夜ちゃんに近付けますか?
あぁ違うね
どれだけ頑張れば咲夜ちゃんの心に近付けますか?
どれだけ頑張れば咲夜ちゃんの友達になれますか?
———どれだけ頑張れば咲夜ちゃんのお姉ちゃんになれますか?
まぁ多分どんだけ頑張っても私には解らないと思う
だって咲夜ちゃんのドヤ顔が悔しく無いくらい私達は努力してないもん!!
いつかきっと咲夜ちゃんにドヤ顔見せてやる!!
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