第27話 三人のお嬢様?
困りましたね
周りに女性が増えてきたので慌ててお声を掛けたのですが、心の準備が……
高柳様でしたね、”見目麗しい”とゆう言葉は知ってますが、言葉を体現した殿方が居るとは思いませんでした
それにお人柄もとても良さそうですね、優しそうな雰囲気も有りますし
はぁ……言葉がうまく纏まらないです、さっきからあまり内容の無い会話ばかりですね。これでは飽きられてしいます…困りました‥‥‥
チラリと隣を見れば美月さんも同じ様ですね
高揚し過ぎてとんでもない事を言わなければ良いのですが‥‥‥
それにしても高柳様。
今日は期待しなかった‥‥‥
と言えば嘘になりますが、こんなにも素敵な殿方が居るとは思いませんでしたね
この方なら交流会なんて来なくても宜しいでしょうに?
周りがよく容認しましたね?
私だったら必死でお留めしますのに……
こんなドレスでは無くもっと気合入れて来れば良かったですね…今更ですが‥‥‥貴方から見て私達はどう写ってるのでしょう?
ほら美月さん!もう少し頑張りなさい!
「えっと高柳様は普段はどんな事をしていらっしゃるのですか?」
「そうですね…本読んだりパソコン使って調べものしたりですかね。あっでも最近はもっぱら勉強ですね、これでも受験生ですから」
受験?男性が勉強??はて?
「受験ですか?」
「ええ、俺はまだ中学生なので」
「「‥‥‥えっ?」」
———はぁぁっ!?
びっくりして口を押えてて良かったですね、はしたない声が出るところでした
しかし中学生ってなんですか?こんなにも艶やかなのに!?
つまりは年下って事!?
でも何故男性が勉強を?
進学なら面接で十分なはずでは?
今回は此処数十年で一番の当たり年じゃないでしょうか?
容姿、性格、お人柄、更には努力家ですか…どこの天然記念物ですか!?
もう此処はどなたにも渡しませんよ!
せめて連絡先くらいはお聞きしませんと……死んでも死に切れませんね。
さぁ!頑張りなさい美月さん!!
◇
えっ嘘でしょ?
中学生にこんな雰囲気出せますの?
色気増々じゃないですか?
男性とは何度かの面識はありましたけど、こんな男性は初めてお会いしました…まるで絶滅危惧種ですね
ドラマや小説でもこんな男性は出てきませんわよ!
ふふふっ、文乃も気合入ってる様ですわね!
私も気合入りましたわ!
いざとなったらお母さまの名前使ってでも仲良くなりますわよ!
文乃のお母さまのお名前も使っても問題無いでしょう
「この前家族と旅行に行きまして、そこでテニスをしたんですけど、次の日になったらもう凄い筋肉痛で動けなくて…なので少しづつでも体を鍛えようと思いまして」
「まぁ大変!それでもうお加減はよろしいですの?」
「実はまだ少し痛いです。あははっ」
‥‥‥‥‥照れたお顔は可愛らしいのですね
淑女としての努力はしてきましたけど、涎が出そうですわ
駄目ですね気を引きしめないと。幻滅なんてされたら私‥‥‥
◇
冬夜お兄ちゃん
凄く優しい瞳をした人
私は物事を伝えるのが凄く苦手
そして考えを言葉にするのがとっても苦手
学校でも家でも『ちゃんと話をした方が良いよ』とよく言われる
だから私に話掛けてくれる人もあまり居ない
でも冬夜お兄ちゃんはそんな事まったく言わないで相手してくれる
優しい瞳で‥‥‥笑顔で
お母さんの事が心配でずっとずっと悩んでた
誰に何を相談したらいいかも解らなかった
言葉が出なかった。
今日もこんな所に来たくなかった
でも今日の為にお母さんが用意してくれた服を渡されて行ってらっしゃい!
なんて言われたら‥‥‥
こんな私に話しかけてくれた
お母さんが用意してくれた服も似合ってるって
少し話したらお母さんの事も大丈夫って
冬夜お兄ちゃんは多分とか言ってたけど大丈夫な気がする‥‥‥
だって冬夜お兄ちゃんだもん!
貰った名刺——もう一枚欲しいって言ったらくれるかな?
中学生だって……
嘘!?って思った
だって私なんかより凄く大人に見えた
妹の咲夜ちゃん?に嫉妬した
だって凄く嬉しそうに写真見せられた
なんか悔しくなって私も一緒の写真が欲しくなった
冬夜お兄ちゃんは少し照れた顔で写真に入ってくれた
この写真は私の宝物!
隣に居たら安心しちゃってお腹すいて来ちゃってお菓子食べ過ぎちゃった
冬夜お兄ちゃんに手渡そうとしたらそのまま食べられちゃった
嬉しいけどなんだかすごく恥ずかしい‥‥‥
年下のとっても優しい瞳のお兄ちゃん。
年下のすごく安心するお兄ちゃん。
年下の素敵な安らぎをくれるお兄ちゃん。
年下のその照れた顔が可愛いお兄ちゃん。
そして妹が居る————頼れるお兄ちゃん
こんな気持ち‥‥‥知らなかった‥‥‥知りたくなかった‥‥‥
初めてだけどきっと合ってる
『大———』
◇
「高柳様は先ほど勉強と仰ってましたけど、男性に受験は関係ないのでは?」
「あー俺の方が年下なので気軽に冬夜って呼んでくれて構いませんよ。対応もお気になさらず。で、受験でしたね‥‥‥ん~っと何て説明しましょう‥‥‥‥あっ!これ俺の名刺です。今更ですが宜しくお願い致します」
「あっご丁寧に…」
「頂戴します」
「ん!」
「え?優実さんも欲しいの?」
「ん…」
「じゃーはい。宜しくお願いしますね」
「よろしく!」
「えっと…riliKsですか‥‥‥社長!?」
「えっ?あの恐ろしく早い成長してる企業ですか?」
「えっとまぁそうです」
「「は?」」
「ん~母とその友人たちで始めたらしいのですが、その切っ掛けが俺が生まれた事でなんか勢いでイケるって思ったらしいですよ。すごいですよね~」
「なんですのそれ…」
「え…」
「まぁ…その反応は解らなくは無いですが、俺が10歳の時から株主総会に出てるので間違いは無いですよ」
「「えぇ~」」
「えっとそれでですね、過去は兎も角、社長の肩書貰った以上頑張らないといけないと思いまして、まずは知識かなって…それで大学を視野に今は勉強しなきゃなって」
「だ、男性が努力するなんて話、聞いた事が無くて……その少々…」
「冬夜お兄ちゃん頑張る」
「だね~、優実さんも頑張らないとね~」
「ん!」
「ま、あれです。頑張ってる家族や社員、仲間の為に俺も頑張りたいだけですよ!守られるだけは嫌なので」
何て殿方なの‥‥‥‥‥
何て男性ですの‥‥‥‥‥
やっぱりお兄ちゃん!
「あ、そだ!連絡先お伺いしても宜しいですか?もしかしたら動画上げるかもしれないので、その前に感想お聞きしたいと思いまして」
「連絡先は喜んで‥‥‥でも動画ですか?」
「わ、私も願ったりですわ」
「ん」
「そうですね‥‥‥えっと旅行中散歩に出た時になんとなく出た歌がみんなに大絶賛でして、なんとなくピアノを添えたらもっと良くなるってつい言っちゃって‥‥‥そしたら母がピアノ注文するって…で、その曲が誰の曲なのか解らなくてもしかしたら俺の曲なのかもって、なので誰かに聞いて貰えたらなと‥‥‥」
歌?
ピアノですって?
お兄ちゃん凄い!
「まぁ学業優先なので顔は出しませんけどね。あっそだっ、今度食事会でも開きません?俺の妹も紹介したいですし。夏休み中なら時間有りますよね?」
「「「!!!」」」
「夜は無理ですけどランチなら皆さんも時間の自由は有るかと‥‥」
「ぜ、是非!」
「わ、わ、私も!」
「んー!」
「じゃ皆で都合がつく日時で調整しましょうね」
「「「はーい」」」
「あ…えっと連絡はメールかチャットアプリでお願いしても?ここ最近何かと忙しいので……文章なら優実さんも伝えられるでしょ?」
「—!?」
「なるほど。ふふっ、分かりました」
「あ…理解出来ましたわ、私もチャットでお願いしますわ」
「心から信頼できる友人って一生の宝物らしいですよ?それに‥‥‥思いを言葉にするのは中々に難しいですからね」
ほんと‥‥‥この殿方はお優しいですね
他人事なのに出来ないことを出来る様にする‥‥‥ですか?
お兄ちゃん…
届かない思いほど届いて欲しいと願う物である。
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