第26話 大人の都合って在るよね。
「優実さん、少し席を外しても宜しいですか?」
「うん。待てる」
あ、うん。待たなくていんだけどね。
ピッポッパ—
《はい三好です》
「あ、お疲れ様です。冬夜です」
《お疲れ様です。どうしましたか?》
「えっと急な話ですが大森化繊はご存じですよね?」
《えっと…あぁ…はい》
「今、交流会に来ているんですが、その大森の娘さんと知り合いまして」
《えっ?》
「娘さんの様子を見る限り大森は多分ですけど今、切羽詰まってるかと思われます。なので俺の名刺を娘さんに渡したので近いうちに向こうからのアポが俺の所に来るかと思ます、『おそらくは』が付きますけどね。それまでに大森のあれやこれやらを知れべてこっちが優位な立ち位置になれる様にしておきたいと思いまして」
《‥‥‥》
あれ?
「もしもし三好さん?あれ?もしもーし」
まさかのポンコツ発動してないよね?
《社長…勝手に動くなとは言いませんが相手を選んでください》
あれ?
「あれ?大森って代変わってから株価落ちてるらしいし、どうかなって思ったんだけど…」
《えっ?》
あれ?
大手が急な外部発注受けるわけないよね?
あーうん、そうだよね。
「えっと…会長の面倒お疲れ様です」
《‥‥‥》
「失礼しました」
ピッ
だよね~~~
◇
ツーツーツー
「え?大森化繊が?ええっ?」
「今の電話って冬夜君でしょ?って紗香ちゃんどうしたの?」
「急ぎの仕事が出来たので戻ります。此処は早瀬にお願いしておきますので」
「ちょっと紗香ちゃん??」
バタンッ!スタタタター
バタン!テテテッ ギィッ パタッ ピッ!
「早瀬さん!会長のお側をお願いします」
「はい!」
((((チョッ!?いきなりビックリ……この時間だと会長とあそ…調整してる頃だよね?))))ヒソヒソ‥‥‥
(本当に結構下がってますね‥‥‥ってあれ?これってうちからの注文も受けてる?ってか冬夜君って何処まで調べてるの‥‥‥?これならうち優位で話は持って行けるかもですね。話の様子から提携どころの話じゃ無いような気がしますが……ふふっ、役員会が初仕事なんて言ってましたが、ちゃっかり仕事してるじゃないですか?交流会になんて行かなくてもいいのに!って思ってましたけど冬夜君の交流は違う所に合ったみたいですね‥‥‥ホントに中学生ですか!?そしてホントに楓の息子なの?いや知ってるけど!それにしても…動くなら事前に相談して欲しかったですね‥‥‥(注:本人のド忘れ)。さてさて、まずは各所に話を通す所から始めますか…ふぅ。暫くは忙しくなりそうだし楓の遊び相手は早瀬さんにお願いしましょう)
((((三好室長が色んな顔してる…って!?いったい何が??))))ヒソヒソ‥‥‥
◇
とある会長室では…
くちゅん!
「かおりちゃんチッシュー」
「あ~はぃはぃ。それにしても夏休み楽しかったですね~また行きたいです!」
「そぉねぇ~‥‥‥冬夜君次第かしら?咲夜も来年お受験だし」
「でもでも~お願いすれば何とかなりませんか?」
「そうね~冬夜君優しいし………ふふっ、家族写真も良いけどやっぱりツーショットかしら…あ~でも咲夜も可愛いし…ん~」
「あ、会長!これ見てください!肩抱いてもらった写真です。待ち受けにしちゃいました♪」
「ふふん!わたしなんて冬夜君を抱き枕にしちゃったのよ~♪」
「なっ!?だ、抱き…枕‥‥‥だとぉっ!!」
「あ、佳織ちゃん紅茶のお替りお願いねぇ」
「はい!私も頂きますね~」
◇
通話を終え会場に戻ろうと振り返ってみれば‥‥‥
「あれっ優実さん?どうしました?」
「うん、待ちきれなかった」
ん?
「えっ?なんで?」
「待ってた」
と言いながらスススッと、隣に立つとジャケットの裾を摘まむ‥‥‥
あれれ?もしかしてマジで17歳児?
「優実さんって姉妹は居ます?」
「ううん。優実は一人っ子だから、冬夜君がお兄ちゃん」
えっ?お兄ちゃん??
「えっと…いちお言っておきますが俺の方が年下ですよ?」
「えっ?」
えっ?
「俺はまだ中学生ですから」
「えっ?」
えっ?
「見えませんか?」
「うん。お兄ちゃんっぽい」
そっか~
「まぁ妹居ますからね、実際お兄ちゃんやってます」
「むっ!?」
「妹の写真見ます?可愛いですよ」
「!?見る」
「ほらこれ、咲夜って言うんですよ」
腕を組みながらニッコニコのピース姿の写真
「!!!優実も撮る」
なんか対抗意識持ってない?
さっきから言葉少ないけど仕様なの!?
ってかさっき泣きながらだけどがっつりしゃべってたよね?
スマホを取り出し俺の袖の肘の辺りを摘まみ、ほんの少し頬を染めながらカシャリ!
「ん!」
スマホ掲げて撮ったどー!!みたいになってるが‥‥‥
なんか満足そうでなにより。
「お母さんに見せる」
「あっ俺にもそれ下さい。帰ったらお母さんに友達出来たって言わないとですね」
「違う!お兄ちゃん!!」
それも違うよ!
突然年下の兄が出来たって伝えても、相手は目が??にしかならないよ!?
会場の片隅でお菓子やら飲み物で時間を潰してる。
隣でモグモグと小動物の様な人がセットで‥‥‥‥‥
「優実さんそれ美味しい?」
「うん美味しい、はいコレ!」
出されたお菓子をそのまま手づかずからパクリ、もぐもぐ…
「あー美味しいね~」
差し出した指を見つめながら
「ん…」
最早暇つぶし相手である。
まだ帰っちゃ駄目かな?等と思ってたら
「少し宜しいですか?私達とお話して頂けないでしょうか?」
「ん?」
テッテレレー
お嬢様風A、Bが現れた!
「え、えっと私は四谷
「あ…私は香蓮
仲間に入りたがってます、仲間にしてあげますか?
ふむ、綺麗なお嬢様風な方々だな‥‥‥
四谷さんは背中に掛かるほどの少し茶色いストレートに少し切れ長だろうか深緑の瞳に鼻筋から顎のラインまでスッキリの顔立ち。
香蓮さんは眼鏡女子かぁ、ボブっぽい髪形に天使の輪がくっきり見える黒髪で深く黒い瞳、出来れば泣き黒子欲しかったが、着物が似合いそうな人だな。
しっかしまぁ~どっちも気合の入ったドレス着込んでんな?
まぁ女子からしたら勝負イベントなんだろうけども‥‥‥
大した興味も無いけど選ぶ側。
ラッキーでも良いから選んで貰いたい側。
その温度差は果てしなく大きい!
俺以外は——ね。
隣にはまぁほら、小動物っぽい人が居るから話しかけやすい雰囲気でも出てんだろうなぁ‥‥‥
チラホラじわじわと周りを囲まれ始めたし、目線でけん制しあってるし。
隅っこで逃げ場が‥‥‥‥‥目立たない様にしてたのが裏目に!?
おい黒田。お前はマジでこっち来んなよ!ほんとマジお願いだから来ないで!!
そんな中、勇者が現れた!って感じだろう。
「えぇ勿論、喜んで。初めまして。俺は高柳冬夜と言います。こちらこそ宜しくお願いします」
椅子から立ち上がり胸に手を当て少し頭を下げる。
紳士アピールは重要、そして笑顔も忘れずに!
「そしてえ~っと、ほら優実さんも挨拶を」
「ん、大森優実」
えっ名前だけ!?えぇぇ~……って、まぁいっか…仕様っぽいし
「えっと彼女は人見知りっぽくて、俺は何故か‥‥‥懐かれまして…」
「そ、そうなんですか?なら私達も仲良くなれる様頑張りますわ。ねっ!文乃」
「え、えぇそうですね、美月さん」
この二人とはまともな会話が出来そう…かな?
読解力が試される会話とか疲れるからね!
コネ…おっと失礼。人脈はこれからの俺には必要だからね!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます