第22話  早瀬姉妹の夏休み

とある避暑地へ向かい移動中。


「佳織!本当に居るんでしょうね!?」

「うん、話してるの(こっそり)聞いたし、予約履歴も確認(ばれないように)したから間違いないよ!お姉ちゃん」

「それならいいけど。もし居なかったら妹と二人で夏休みなんて悲し過ぎるでしょ…」

「絶対居るって、だって会長嘘付けない人だもん!もうすっごい楽しみにしてんたから~」


社長秘書兼会長秘書補佐に任命されてから社員からの特に同期達からの妬ましさで、話相手が会長他役員三名しかおらず、それを友人に相談したところメールの返事すら【ゴメーン気づかなかった~】や【寝てたごめん】等々の最早あからさま過ぎる疎遠になってきている今日この頃。


女の友情とは??


それでもなお社長秘書を手放さないのだから、中々強メンタルな早瀬佳織である。


話し相手がほぼしかおらず、夏休みの相談をしたところ是非にとの事で現在移動中。


無事目基地へ到着っと。


「ふぅ着いたぁ~」

「お疲れー お姉ちゃん」


体を解しながら周りをキョロキョロと見渡す姉妹


「へ~ こんな所在ったんだね~」

「ね~ そんなに暑くないし、これなら夜は涼しそうだね」

「そうね~ さてっと…受付は何処かしら?」

「えっと…マップだとあっちだよお姉ちゃん」

「じゃ さっさと受付済ませて部屋で休みましょ!」

「だね~」


因みにチェックインは13:00時~なのはちゃんとパンフレットにも載っているにもかからわず現在の時刻は10時を程よく過た頃。

楽しみ過ぎてそんな事は全く気にする様子も無く、中々ポジティブな似た者姉妹である。


テクテクとバックを肩に建物を目指す二人がふと気付く。


「ねぇ佳織。なんか楽しそうな声聞こえない?」

「うん…向こうのテニスコートかな?」

「まさかとは思うけど、冬夜君がテニスしてるなんて事無いわよね?」

「それこそまさかでしょ!男性が運動なんてやるわけないじゃん。何言ってるのよお姉ちゃん!」


・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

お互いの顔を見つめながら


「…ちょっと見に行ってみない?」

「…そだね」


楽しそうな声につられそちらに足が向く、まるで園児の様な仲良し姉妹であった。





ラリーで疲れた体を休ませる為に日陰ベンチで休憩中…


全員相手するまで終わらない様子を見せるほぼ拷問の様なテニスを始めてからやっと折り返し地点。

俺の事気遣ってくれるのは良いんだけど、見える所でじゃんけんすんなや!

そしてチラチラそわそわすんのヤメテ!

こんな汗かいたの生まれて初めてだよ!!!


さぁ気合入れますか・・・

「次は~」

っと声を掛ければすでに加藤さんがスタンバイ済み。

キラッキラの笑顔でラケット振ってるよ‥‥‥殺す気か!?


「じゃ~いくよ~」

「はぁ~ぃ♪」


パフッ ポォ~ン

腕が‥‥‥ラケットがダンベルの様だ‥‥‥


「キャァ~冬夜君が動いてるぅ~!」

そら動くわ!‥‥‥ってえっ?

「えっ?えっ?嘘?あの人が社長??ヤバッ!」


良くわからない声に思わずツッコんでしまった…

って誰?

声が聞こえ方を見てみれば…


「あれ?早瀬さん・・・?っともう一人の早瀬さん??」


早瀬さんが二人に見える…疲れ過ぎて幻覚か?


「あれ?佳織ちゃん?」

誰?

「あれ?早瀬じゃん」

うんその名前は知ってる

「あ~早瀬も来たのね。で?そちらはご家族かしら?」

どちら?

「あら。早瀬さん…やっぱり来たのね」

やっぱり?

「あぁー看護師さんだ~なんで居るのー?」

うんなんで?

「ちょっ誰よあれ?」

早瀬さん‥‥‥

「お母さん達の知り合い?」

ん~一人は知ってる

「ちょっとぉ まだ増えるのぉ‥‥‥」

知らんがな!


はーい!一旦集合!!


「冬夜君。久しぶりって程じゃないけど、元気そうで何よりだわ」

「その節は有難うございました。でもどうしたんですか?こんな所で会うなんて?」


偶然?だと思いたいけど絶対違う気がする・・・


チラリと隣を見ながら

「あれ?妹から聞いてない?」

うん聞いて無い。で、妹…?隣の女性が?

「は、はじゅっまちて」

なんて?

「んっんー。初めまして社長様、今年度からriliKsにお世話になってます社長秘書兼会長秘書補佐の職を承っております早瀬佳織と申します。10月で19歳になりまっす。ついでに交際相手も募集中です!これからも末永く宜しくお願い致します」


真っ赤な顔で直立不動!?そして言ってやったぞ!!みたいな顔してるけど大丈夫か!?すんごいポンコツ臭がするんだけど…


「ご丁寧にどうも。初めまして高柳冬夜です」

とりえず社交辞令…だが解らん


「えっと…かあ‥‥‥いや、三好さん説明をお願いします」

母さんの説明だと多分解らないからね。


「佳織ちゃんはねぇ」

「楓はちょっと黙って下さい!」

「むぅー」


被せるように三好さんからステイ

子供じゃないんだからいちいち頬を膨らませるのは止めなさい!


「でわ、説明させて頂きます。えっとまず彼女の名前は早瀬佳織はやせかおり。今年度高卒入社したのですが、そこの会長様が里佳子の部署のは・ず・な・の・に!いきなり冬夜君の秘書にって突然言い出しまして。本人にも確認・了解を得て社長秘書にさせて頂きました。しかし冬夜君の出社状況及び本人の知識・認識・経験不足・その他諸々が物凄~く謙虚だったので私の下で色々な指導をしながら補佐をしてもらってます。まだ数か月の教育ですがとてもとっても著しいです。因みに私達三人い・ま・は!!納得してます。なんかもう……」


・・・・・・・・・


高卒で知識も無い、経験はまぁね…佐々木さんの所だとデザインだよね?それを秘書に?社長の??


「なるほど……思い付きと勢いと無茶ぶりと諸々な思惑が重なった結果って事ですか?」


「‥‥‥‥‥‥そうゆう事です」

「なんか……大変ですね……今更ですがお疲れ様です」

「……………有難うございます」




三好さんと遠くを見たのは始めてかもしれない…







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