第19話  家族旅行

母がノリノリで進めてきた場所へ行く事になった。


「到着っと」

んん~と伸びをする母に

「運転お疲れ様」

と声を掛け、辺りを見渡しながら

「静かで、涼しくてすごしやすそうな場所だね」


そんな言葉に母も咲夜もキョロキョロしながら同意してくれる。


「うん、私も初めて来たけど良さそうな場所ね」

「此処ならきっとゆっくりすごせるね!お兄ちゃん!!」


と、いつものように両腕をホールドされるが

「荷物は俺が持つから母さんは受付をね。持ちきれなかったら咲夜お願い」

「「はーい」」

うむ。良い返事でよろしい


等とやり取りしてたら数台の車が駐車場へ入って来た。


「あれっ…?」


車に見覚えがあるのか?何やら思案中の母。

たしかほとんど人が居ないって聞いてたけど…


そして車から降りてきた人達を見て


あれ?佐々木さん、加藤さんに三好さん…?


「やっほ~楓!あれ!?ひょっとして咲夜ちゃん?大きくなったわね~。それに久しぶりね冬夜君♪」

サングラスをクイっと上げ、ウィンクしながらそう言う佐々木さんだが、その様に格好良いなと思ってしまう。


「はぁ~い冬夜君。それに咲夜ちゃんも久しぶり」

相変わらず緩いなこの人は…


「お久しぶりです冬夜君。咲夜ちゃんもご無沙汰ね」

このお堅い感じの三好さんだがポンコツを出さない為に気を付けての事を知られてないと思ってる事に好感を覚えてしまう。


「なんでみんな居るの?」


三人の挨拶を他所に母がそんな質問を投げかける…が


「今日は娘も連れて来たのよ! 弘美ひろみ挨拶しなさい!」

佐々木さんの言葉に二人が続く

香奈かなもそんな所でもじもじしてないでこっちにおいで~」

由華ゆかも早く皆さんに挨拶しなさい」


そんな言葉に車の陰から三人の少女達が何やら恥ずかしそうにこちらへやって来た。


「こ、こんにちは。佐々木 弘美です」

「か、加藤 香奈です」

「三好 由華です。楓さんお久しぶりです」

「はい。こんにちは! みんな大きくなったわね~ 咲夜も冬夜君も挨拶ね」


活発そうな弘美、香奈に真面目そうな由華の挨拶なんだが、何故か俺を見ながらの挨拶はなんだろう…

にしても大人数になったな。


「高柳 咲夜です。 よろしくです」

「高柳 冬夜です。 って小さい頃に四人で写ってる写真あったけどもしかして…?」


『あ・・・』と、声と共に目がウルウルしだした三人…


「あー そんな写真もあったわね。冬夜君よく覚えてたわね」

「いや、母さんと咲夜で俺が小さい頃のアルバムよく見てるじゃん」

「それもそうね。そうよ冬夜君、あの写真の三人よ」


まぁ小さ過ぎて記憶は無いが、写真は見てるので『へぇ』とばかりに三人をジロジロと見てしまった…失礼。


頬を赤らめるのはヤメテ欲しい。


「そっか。覚えて無いから久しぶりじゃなくて、改めて宜しくだね。

それじゃ荷物も在るし詳しい話は中入ってからで良いんじゃないかな?

母さん」

「そうね」

「それじゃ行こうか!」

「「「「「「「「はぁ~い」」」」」」」」


増えてるし‥‥‥



「ヤバい!!めっちゃ格好いいんですけど!」

「鼻血出るかと思った‥‥」

「覚えて無いみたいだけど、写真は持っててくれたんだね」


先頭を歩く冬夜の後姿を眺めながら 弘美・香奈。由華そう溢すと

そこに被せる様に


「どうよ冬夜君は? 良い男に育ってるでしょ!」

何故か自慢げな里佳子


「なんでお母さんがドヤ顔なのよ!? ってか何でもっと早く合わせてくれなかったのよ!!」

「なんでってあんた達受験生でしょ? それに男子が居る家にそんな簡単に行ける訳ないじゃない」


「今回は受験の息抜きもそうですけど、冬夜君に合わせる為でもあるのです。 それにどうやら冬夜君は三桜に行きたいと言ってたと楓が少し前に溢してましたよ? まぁ聞けば教えて貰えるとは思いますけど…」


「「「なっ!?」」」


「なら今回を機に仲良くなっておかないとライバルは増える一方よ!」

「受験頑張ってね~」


「私はなんとかなるけど、弘美と香奈は残念ね♪」

「由華!あなた…私達は友達よね?」

「一人抜け駆けなんて許さないわよ!」

「こんな情報が何処かに漏れたらとんでもない倍率になるから絶対に此処だけの秘密にしないといけないわ」

「「わかってるわよ!!」」


「冬夜君にもお願いしておかないとだね…」




受験に気合の入る三人娘であった・・・




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