第17話  早瀬 佳織 ②

さぁやって来ました会長室!


なんて気分にはなれない……

なんでこんな事に…


「さぁみんな座って、佳織ちゃんも遠慮しないでね。紗香ちゃんお茶お願いね」


遠慮させてください!ってか帰らせてー!!



ものすごーく居心地悪い中、恐縮しながらカチコチに固まってると

「で、楓。改めて聞くけどなんでこの子なの?」


加藤統括見た目と違って雰囲気が怖いのよ!


「えっとね佳織ちゃんって高卒だから冬夜君と年が近くて話合うでしょ?」

そんな言葉に会長以外からの値踏み目線が痛い…

そんな中、口を開いたのはやはり加藤統括。


「この子じゃなくても後何年かすれば家の子が入るわよ?」


うわーめっちゃ怖っ!


「あー、それだったら家の子もだ!」

「私の娘もそうですよ!」


これってただのパワハラだよね!?


「じゃなくってー 冬夜君って株主総会の時ってすごく居心地悪そうにしてるでしょ?」

「「あー」」

「確かにそうですね…」

「でしょ。だから佳織ちゃんに冬夜君のフォローをお願いしたいのよ!」


その言葉に六つの視線が私に刺さる…

嫌過ぎるこの雰囲気…なんかお腹痛くなってきたよ!


「まぁ。そうゆう事ならしかたがないのかしら…」

「そっか~それならまぁ…」

「それなら冬夜君に相応しい秘書に育てませんといけませんね」


あっ なんか納得し始めたぞ…

ですが、私の意見も聞いて欲しいのですが!?


「って事で佳織ちゃん!あなたを社長秘書に任命します!」


どーしよ‥‥‥

どう答えれば正解なんだろう…

受け入れたら社内中からイジメに合いそうだし、断ったらこのメンバーに悪い印象をあたえる。


男子に会える‥‥‥欲望を言えば全然アリ!

だけど新入社員の私がそんなポジションに付いたら明日からどんな目で見られるか‥‥‥


よし!

「解かりました。右も左も分からない私ですが宜しくお願い致します」

欲望に負けちゃった…仕方ないよね、社長の秘書なんだもん!

何かあったら会長に泣き付こう!


「ありがとう佳織ちゃん。紗香ちゃんお願いして良い?」

「解かりました。ですが会長、冬夜君は何時出社するか判らないのでとりあえず私の下に付けて教育させて頂きますが、よろしいですね。会長?」

「うん。お願いね♪」


そして入社1日目にして、デザイン部から秘書課への異動が決定した…



「ただいま~」


家に帰り精神的にぐったりな私は力なくリビングのソファーに体を預け放心する…



「あら?帰ってたのね佳織。おかえり」

そんな母の言葉に力無く『あーうん』しか言えなかった…

「今日、会社どーだったの?」

なんて言葉が来たので返事返そうかと、その時。


「ただいま~」

との声

帰って来たのは姉だ。


「お帰り。唯」 「あーお帰りお姉ちゃん」

姉は看護師をしているが配属先が男性特別病棟なので、残業なんてほとんどない、らしい…


「うんただいま。って佳織、なんか疲れてない?」

「あーうん、今日会社の案内されてたら会長室に連れていかれてね…」


「「えっ?」」


「佳織?あなた何をしでかしたの?」


あーうん、そうゆう反応するよね~

私だって思ってるもん!


「何もしてないし私だってよく分からないんだもん!」


うん。ほんと。


「何故か社長秘書の仕事を貰いました・・・」

力無く答えたその言葉に


「はっ?」

「えっ?何言ってるの佳織?」


「いや。私だって理解が追い付いてないんだから!」

グッタリだよホント…


その後色々、自分自身も納得しながら今日のあれこれを説明したのだったが…






その日から私の嫌いな品が食卓に並ぶようになった……






※―少し追加&一部修正しました―※

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