第12話  入院生活3日目

朝の検温、朝食が終わり。今日は検査、診察等は無く検査結果待ち。

つまりは暇なのだ!


ノートPCを立ち上げ何をしようかと思案中。


ガラガラガラ~っと病室の扉が開き、ふと視線を向けると

騒がしいと思わしき人達が入って来た!


「おはよ~ 冬夜君♪」 「おはよう!」 「夕べは良く眠れた?」


一対一なら…うん 大丈夫。 でもこの三人揃うと些かダメな雰囲気がするのは気のせいか・・・


「おはようございます」


「ちょっと失礼するわね」

と、言いながらおでこに手を当ててみたり、脈を測ってみたりと、体のあちこち触って来る…裕理先生と彩先生の二人がかりで。

うっとおしい事この上ない・・・


「うん 調子は良さそうね」

裕理先生がそう言ってる後ろで、明美先生が何故かドヤ顔してるんだが…

「ええ おかげ様で体調は良いです」


「そっか 結果見てみないとまだ何とも言えないけど、問題無かったらもう一日様子見で退院出来るわよ」


「それは家族も安心できる言葉ですね。 もし退院出来るなら早めにお願いします、母に伝えないといけないので」


「解かりました」


ここで先生と患者のやり取りの様を見せてはいるが、この母娘たちだけが視線で会話しあってるのだ!

さて何を伝えたいのだろう・・・


「えっとね冬夜君…」

側に控える娘たちをチラチラみながら話し始める平川裕理。

「その、あのね…この部屋なんだけど…冬夜君の部屋にしようと思うんだけど………」

言葉尻に声が小さくなっているが

フム…この部屋が俺の?


もう! お母さんったら何ヘタレてんのよ

ここは私の出番ね!


「あのね冬夜君。この部屋を冬夜君の部屋にしちゃおうと思ってるの。

つまりは私からのプレゼントよ♪」

言ってやったぞ!と、言わんばかりの素敵な笑顔だ。

「な、何を言ってるのよ明美! プレゼントするのは私なのよ!」

「お母さんがヘタレてるから私が言ってあげたのよ!」

私が!いいや私が!などと言い始めた大人たち…


すると彩先生がカタログをスッと出してきて

「ネームプレートなんだけど、どれがいいかしら?」

出されたカタログに視線を落とせば、なかなかいいお値段だった。


ん~む…

此処は最上階で眺めも良い。内装も高級ホテルの様ですこぶる過ごしやすい。風呂場もそれなりの広さがあってとてもリラックス出来る…


だが此処は病院。

貰ったところでちょいちょい来れる場所では無いと思うんだよね…

もし、頻繁に此処へ訪れるような状況だったとすれば、俺の人生の終わりが見えてる頃であろう…


「これで気兼ねなく何時でも来れるわよ!」

俺の体に深刻な状態でもあるのだろうか…


「いつでも歓迎するからね♪」

病院に歓迎されるとゆうのは、なんとなく思う所があるな…


「なんなら此処に住んじゃってもいんじゃない?」

残りの人生を此処で過ごせと?


色々と嫌な勘違いしそうです・・・


「あの、病室を貰っても扱いに困るのですが?」


「大丈夫よ!管理はこっちでするし。もし欲しい物あったら言ってね」

当たり前である。欲しい物は兎も角、タクシー使って部屋の掃除に来るなんて嫌すぎる…


まぁいっか。断る方がメンドそうだし。

広いベットに大きいTV、後収納ももう少し広くしておいて貰おう。

頻繁に此処へ来る事が無いと思いたいが…

病院に来たら自分の部屋がある。それはそれで何かと便利だと思う事にしよう。うん、それが良い。



しかしなんだ‥‥‥俺、入院患者だよね? 

扱いが病人のそれじゃない気がするのは気のせいか・・・





検査の結果。

健康そのものだった…うん、良かった!

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