第7話 入院生活未だ一日目
騒がしい昼食がようやく終わり何もやることが無い暇な時間が訪れた。
(午後は検査無くて良かったな。飯の時間がこれ程疲れるとは…)
俺は静かな時間を過ごすのが結構好きだ。
友達居ないからじゃないよ?
何もせずに時間を無駄使いしてるこの行為が好きなのだ。
ほんとだよ!
そんな無駄な時間を過ごしていると、廊下の方から誰かが走ってるような音が聞こえ
「お兄ちゃん!」
ガラガラ~っと勢いよく扉が開きキラッキラの笑顔で咲夜が病室に飛び込んでくる。
俺も釣られて笑顔になり
「やあ 咲夜」
飛びついて来そうな咲夜だったが、自身の体を抱きしめ身悶える様な仕草をし、何故かウットリしてる…
「咲夜?」
その行動が疑問に思い首を傾げるが。
「何でもないよ。 それよりお見舞いにきたよ~」
そんな事を言いながら抱き着いてくる。
「咲夜ってそんな甘えん坊だったっけ?」
そんな質問もよそに怪訝な表情を見せながら
「む!お兄ちゃんから女の匂いがする…」
「ん?あーお昼に院長先生達と一緒だったんだよ。誘われたし、一人で食べてても味気ないしね。」
「そっかー でもねお兄ちゃん!女の人にあまり心許しちゃダメだからね!襲われちゃうよ!!」
「あはは。大丈夫だよ咲夜ここは病院だよ? 明美先生もすごく優しいし、とても気を使ってもらってるよ!」
「あけみ・・・せんせい・・・」
おや?夏まっしぐらなのに寒気がするのは気のせいか…
「お兄ちゃん!あけみせんせいって誰!?」
「ん?昨日会ってるだろ?平川明美先生だよ。」
「なんで名前で呼んでるの??」
「あーこの病院って平川家が運営に関わってるらしくて、さっきも言ったけど、ここの院長代理が裕理先生で、長女が外科主任の彩先生で、次女が明美先生なんだって、今朝色々説明を受けたよ。
挨拶された先生方が全部平川だから名前で呼んでって言われたんだよ。」
瞬時に悟ったこれはイカンすでに唾つけられてる…ダメですよ!絶対に駄目!!お兄ちゃんは渡しません!!!
「今日から付き添いで泊まります!」
なにやら必死だな…
まぁ妹が居てくれるなら暇な時間も意義があるかな…
「じゃー着替えとか用意しないとだね。」
「そーいえば母さんは?」
「ん?お母さん? 仕事終わったら来るってー」
「そっか」
「じゃ 着替え取って来るーー」
走るんじゃありません!
実の所、昨日目が覚めてから自身の進路について考えてる。
この世界は男性が少ないが、ほとんどの男性が結婚相手の収入で贅沢三昧の生活らしい…
それが当たり前の世界なのだが俺は何故か納得出来ない。
自身で稼いでそのお金で贅沢がしたい…
時間の無駄使いもそうだが、自身のペースで生きたい……
そう思う様になった。
相手の収入で時間の無駄使い・贅沢なんてなんとなく納得できない。
自分の収入で時間の無駄使い・贅沢…うん 遠慮しなくて良い…
だから進路を考えよう。
今の所、進学希望は通学に一時間ちょっとの男子校
だが家から徒歩20分位の所に超が付く進学校がある、俺はそこへ行こうと思う。もちろん大学も視野に入れてだが。
母さんにキチンと話ししないとな・・・
「冬夜君」
夜になり母が見舞いに来てくれた。
「母さん お疲れ様」
「冬夜君の笑顔が見れただけで疲れが吹き飛ぶわー
それで、体調の方はどうなの?」
「全然問題ないよ 母さん」
高級ホテルの様なソファーに座り何故か俺の腕をホールドしてくる母。
「ねぇ母さん お願いがあるんだけど…」
「ん?」
キョトンと首を傾げ疑問符を浮かべる母の姿なのだが、なんだろう…少し可愛く見えてしまうのは何故だろう…
「ノートPCかタブレット欲しいんだけど…」
「わかったわ明日買ってくる!」
即答か…
「有難う 母さん」
更に抱き着いてくる母・・・
アイテムを手に入れた!
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