第6話 入院生活一日目
なんやかんやと一通り検査が終わりそろそろお昼ご飯にちょうど良い時間。
「冬夜君。今日の検査はここまでね。」
今日の?
「今日の?ですか?」
「そうよ、お疲れ様でした。」
「はい。 あっ いえ午後は何をするので?」
「休んでてもらって良いわよ。疲れたでしょ?」
つまりは暇になったって事か…まぁ一日検査してても怠いしな。
「それでね冬夜君。お昼一緒にどう?」
「そうですね……一人じゃ味気ないのでご一緒します。」
「そっ ありがと♪」
食堂らしき所に案内されるのかと思ったら、なぜか俺が寝泊まりしてる病室だった…
「食堂にでも案内されるのかと思ってました。」
「ん~ 食堂でもいんだけど今日は静かに食べたかったしね!」
静かに…フム…だったら肩が触れるほどの距離じゃなく正面に座ればいいのに…。
ガラガラガラ~っと病室の扉が開きふと視線を向けると
「こんにちは~」「お邪魔しまぁ~す」
と白衣を着た二人の女性の姿。
「こんにちは裕理先生、彩先生。」
何しに来たんだこの人たち…
「チッ…」
隣から舌打ちが聞こえたんだが…
「お母さん達は何しに此処へ?」
ん?なにやらご機嫌斜め…
「あっ 明美ずるい!私も一緒にご飯食べるー」
「そうね丁度いいわね。」
明美先生の質問は無視ですか…
ツカツカとヒールを鳴らし、裕理先生が俺の隣へ座り、そして俺の腕に抱き着く…
「「なっ!?」」
「えへへ」
ホント綺麗だなこの人…でも、もう少し年を考えて行動して欲しい。
「ちょっとお母さん!そこは私が!!」
「そうよお母さんちょっとは年を考えてよね!」
ギャーギャーと騒ぎ始めたこの三姉妹…もとい母娘。
「ゆーやくぅん 娘達がひどい~」
と、甘い声を出しながら、抱き着きながら俺の胸で額をグリグリし始めた…
この人の年齢を鑑みてさすがにこの仕草はいただけない…
「何してんの!?お母さん!」「いますぐ冬夜君から離れて!!」
彩先生は裕理先生を、明美先生は俺を引き剝がそうとする。
うん。一気に騒がしくなった… この母娘ほんと仲良いな。
ってか飯が食えん…
そんな中またもや病室の扉が開いたと思ったら
「先生方 五月蠅いですよ!!」
と、看護師服姿の小田さんが乱入してきた。
小田
明美先生の高校時代の友人で看護師歴五年で、親友と呼べる仲らしい。
「廊下まで声響いてますから 静かにしてください!」
「いいじゃない美咲ちゃん、どうせこのフロアには他の患者さん居ないんだから。」
ふむ…ワンフロアー貸し切りなのか…とても贅沢だな!
「そういった問題ではなく、他のナースも居るんですから立場を理解してください!と言ってるんです!!」
それに…と、俺に視線を向け
「私達だって高柳様と一緒にお食事したいんですから!」
「えへへ~羨ましいでしょ~」
と、両脇からに腕に抱き着いてくる母娘。
そんな行動に驚いた彩先生に小田さん。
「美咲ちゃん引き剥がすわよ!」
「はい!!」
………………更に騒がしくなった。
俺、入院患者だよね?
この後やって来た看護師長にこっぴどく叱られる四人であった・・・
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