第3話  平川 明美 24歳①

彩の川総合病院 

男性特別病棟勤務


実家であるこの病院に勤務出来たとはいえ、さらにだよ!

しかも実家の命令とはいえ、結婚率ワーストワンである医師にならなければならないとは・・・。


この世界には男性が少ない。いや!少な過ぎる!!

男女比率1:20とかなんとか・・・

し・か・も!

この地域には若い子が一人しか居ないらしい…

後はおじいちゃんだらけ…ってそれどんな罰ゲーム?なんでやねん!

命令とはいえ出会いを諦めて必死で勉強しやっとの思いで大学卒業出来て、新人の私には仕事も少ないこの男性特別病棟勤務。


はい少なからず期待した時期もありました。

だがしかし、腰が痛いやら膝が痛いと言って入院してくるおじいちゃん達。

たしかに男性ですが、男性なのですが…

《湿布でも貼って家でおとなしくしとけぇー!》

と、怒鳴りたくなる事もしばしば…ですがそんな事臆面もなくニコニコと相手しなくてはならい。

ほんともうストレスでしかない毎日ですよ。


そんな中一台の救急車が病棟前に到着。

いつも通りどこかのおじいちゃんがタクシー代わりにやってきたのかと思ったら私と同じ年位の女性と中学生位の女の子が救急車から飛び降り

「冬夜君が!!」

「お兄ちゃんを助けて!!」

と、とても慌てた様子で掴みかかって来るじゃないですか。

「お、落ち着いて下さい!」

まずは落ち着きさせましょう・・・ん? お兄ちゃん??


まさか…不謹慎かもしれませんが私は期待してしまいました。

救急車から降ろされるストレッチャーに近づくと、そこには見目麗しい天使の様な男の子が横たわってるじゃないですか!

ごめんなさい…仕事も忘れ見とれてしまいました。


「先生!」

ハッっとなった私はすぐに救急治療室に運ぶよう指示、そして私も慌てていたのでしょうか、本病棟に居る母と姉に連絡してしまいました。

「と、と、と、とりあえず状況を確認しましょう。彼のご趣味は?」

「「えっ?」」

「あっ いえ えっと どの様な状況でこんな状態に?」

落ち着け~ 落ち着けぇ私!

すると女の子が

「うぇッ 朝ごはんで呼びに行ったら ぐすっ お兄ちゃん頭を抱えてすごく辛そうで蹲ってたの! お兄ちゃんを助けて ぐすん!!」

大粒の涙を流しながらも説明をしてくれました。

「解かりました。これから診察をしますのでご家族は外でお待ち下さい。」

胸の前で手を組み祈るようにお願いします!と、お二人は頭を下げていました。


「「お願いします!」」


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