第2話
「で、早速だけど、その考えとやらを聞かせておくれ〜」
綾崎先生は赤ん坊をあやす時みたいな取り繕った声で聞いてきた。
「あ、はい」
僕は動揺する事なく、真摯に返事をする。
「応援団を決める方法についてですが、最終的な手段として"じゃんけん"は絶対にイヤです」
期待外れだったのか、先生は小さく笑う。
「そりゃあ先生もそんな方法で決めたくないよ」
「そこでなんですが明日の学活の時間、"いつもクラス内で目立ってるヤツ"を煽ってくれませんか」
「えー、先生はそんな事出来ないよ」
「煽りは煽りでも良い煽りです。〜くんなら似合うと思う、なんて背中を押すような言葉です」
「なるほど、そういう事ですか」
「もう一つ。もしそれでも立候補者が募集人数に満たなかったら投票形式にしましょう」
「投票か……出来なくはないね。机に伏せれば直ぐにできるし」
「いや、紙ベースでやりたいです。投票中に誰かが見てたりしたら、それはそれで別の問題が起きますからね」
「徹底するんだね。分かりました。それじゃあ帰りの会でその旨を伝えるよ」
先生が足早に職員室に向かおうとしたので慌てて呼び止めた。
「あのっ、それは明日の学活まで黙っといて下さい。それも面倒な事になるので」
「はいはーい。分かりました。やっぱり優斗くんはキチンと物事を言える子だから助かっちゃうね」
「……自分がなる確率を少しでも下げたいんですよ」
「そかそか」
先生は微笑を称えると、廊下をそそくさと歩いていった。
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