第56話 チートスキルだった件
早速部屋に入ってみた俺だが、何のことは無い。
普通にベッドが1個置いてあるだけの殺風景な部屋。
飯を食べるようなテーブルや椅子はないので、食事は別に専用の場所があるのだろう。
ただ、店員が言っていたとおり、部屋には小さな浴槽が置かれており、その中に湯気が立ったお湯と思われるものがなみなみ入っているのでお風呂には困らない。
お湯を触ってみると温かいので、多分だが、また不思議な力でずっとこの温度が保たれる仕様なのだろう。
なんにせよ、心身ともに疲れ果てた俺はひとまずベッドにダイブする。
「ふぅ~。本当に疲れたわ。これで1ステージ目とか嘘だよなぁ……」
この三時間の間に俺が感じたストレスは半端ない。
それが一時であるにしても、ここでは開放された気分になった。
「とりあえず風呂に入って、体を温めて寝るかな。飯は後だ」
と独り言を口にしながらも、さっき店員に言われた事を思い返す。
「ここでしか使えないスキルね。まぁあっちはひとまず置いておいて、まずはこれだよな」
あっちというのは、当然アレのことだ。
一人、誰の目に憚れる(はばかれる)ことなく休めるこの場所。
まさにあのスキルを使うにはうってつけであり、そのスキルはここでしか使えないスキルであることは予想される。
それはそれとして使う予定ではあるが、まずはこっちが先だろう。
「オープン。スキル欄は……っと、ダメじゃねぇか」
俺の唯一の希望であったスキル「武器創造」
もしかしたらここでならと思っていたのだが、スキル欄に書かれた武器創造の文字は透けている。
使えるスキルは白く表示され、使えないスキルは透けている状態。
だがやはりといってはなんだが、自家発電の文字だけは白く輝いていた。
そう、ただ白いだけでなく、「使え!!」と言わんばかりに、白く点滅している。
こんなことは一度もなかったのだが、いいだろう。
ここまで来たなら思う存分試してやんよ!
お前の性能とやらをな!!
俺はステータスボードに表示された自家発電をクリックしてみた。
戦闘スキルとかは戦闘中に唱えることで使えるのだが、フィールドスキルっぽいやつは、ステータスボードのスキル欄をタッチすることで使用することができる。
ちなみに長押しすると、そのスキルの説明が表示される仕様。
「別に口にする必要はないけど……自家発電……発動!!」
と言いながら、横にシコッティを置いてスキルボタンをポチっとな。
すると……なんとステータスボード欄に文字が出てきた。
※ 使用不可
先にイメトレを使用してください
「ざけんなよ! だったらイメトレを点滅させろや!」
どうやら自家発電を使うには前提スキルを使用しないといけないようだ。
先に説明して欲しい。
そして今度こそ、イメトレのスキルを選択すると……
※ そうぞうりょく を 50 消費します。
使用しますか? YES NO
なんと、今度は警告文が表示された。
と言っても、俺にとってはなんの警告でもないというか、リスクがない。
そうぞうりょく とかいうステータスは今のところ空気だからな。
700もあるんだし、50くらいわけないさ。
「オッケー、オッケー。焦らすなよ。YESに決まってんだろ」
そう言って当然のようにYESをポチった瞬間……まさかの事態が……
「おっ……おっふ……おっふ! おぉぉぉぉ~!!」
辺りが一瞬真っ暗になった次の瞬間、視界に俺が今まで見たいと思っていた想像が現実として目の前に現れる。
主に登場キャラクターは俺の仲間達だが、その他にも出会った美女たちの……
「お……お……た、た、た、昂ってキターーーー!!」
体の中から何かが昇って来るのを感じる。
そう熱いマグマだ。
それも多分色は白い。
そんな中、機械的な音が聞こえる。
※ 自家発電 発動可能
使用しますか?
使用には ぼっきりょく を
50 消費します。
「するするぅ~!! 早く……早く開放してくれ!!」
その声に反応したのか……俺は無事に自家発電を発動することができた。
その後どうなったのかを詳しく言うつもりはない。
ただ、想像通りのスキルとは呼べないスキルだったとだけ言っておこう。
だけど、このスキルは予想外に素晴らしすぎた。
神スキル……いやチートスキルと言っても過言ではないだろう。
ここまで頑張ってきたかいがあったと俺に思わせるほどにな。
仲間達の素晴らしいエロ……いや、なんでもない。
とにかく最高に気持ちえがった……だけでなくですね……なんとっ!!
※ サクセス の ちから が
50 あがった。
サクセス の みのまもり が
50 あがった。
サクセス の すばやさ が
50 あがった。
サクセス の ちりょく が
50 あがった。
サクセス の うん が
50 あがった。
そうなんです!
ステータスがめちゃくちゃ上がったんすよ!!
これにはもう大興奮です。
当然1回でこれだけあがったんだから、何回も使わない理由はない訳で。
通算4回抜い……いやスキルを使ったことで俺のステータスは……
サクセス レベル21 イきり童貞
ちから 200(上限)
みのまもり 200(上限)
すばやさ 200(上限)
うん 200(上限)
ちりょく 200(上限)
そうぞうりょく 500
ぼっきりょく 500
と爆上がりしたのである。
ただ残念なのは、今の職業ステータスは上限が決まっていたようで、これ以上は上がらないということ。
本来ならオール205になっていたところ200になっているので、少しだけ勿体ないことをしてしまった。
実際気付かなければ、精根尽き果てるまでスキルを使用し、文字通り果てていただろう。
仲間達がいないこの解放感ある空間では俺の精力は無尽蔵であり、ここぞとばかりに出し尽くす所存でござる……といきたいところであったが、流石に気付いてしまった今それはもったいない。
転職した後にまた使えるかはわからないけど、その時の為にタンクにチャージしておくぜ!
なんにせよこれだけステータスが高ければ、あの恥ずかしいスキルを使わなくとも、下腹部に群がる化け物どもを拳でわからせることができるであろう。
と考えていると、ステータスボードのアイテム欄が点滅している事に気付く。
「ん? なんかアイテム拾ったっけな?」
このステータスボードは、新しくアイテムを入手するとアイテム欄を確認するまで点滅する親切仕様になっている。
だが、
新しいアイテムを入手した記憶はないんだよなぁ……
と疑問に思いながらアイテム欄を覗いてみると……
使用済みのティッシュ 4個
(シコッティ製)
と新たにアイテムが表示されていた。
「いらねぇよ!!」
と思わずツッコまずに入られなかった俺。
だが、そこで更にある事に気付く。
「何っ!? 武器創造が白くなってるだと!?」
ここにきて武器創造のスキル使用制限が解除されていた。
このタイミングでこれが使えるようになるということは……ま、まさか……
「これが……これが素材だというのか!? ふざけすぎだろ運営」
あまりに酷い現実に思わず壁を殴りたくなる衝動を覚えたが、ここはグッと堪える。
「まぁいい。使えるっつうなら使ってやろうじゃねえか!」
半分ヤケになりつつも、俺は武器創造を使ってみることにした。
武器創造スキルも例に違わず、「そうぞうりょく」と「ぼっきりょく」を50持っていかれたが何とか発動することができ、そして出来上がったのが……
せいなるつるぎ
想像以上に格好良くて強そうな武器。
実は武器創造という名前から作れるのは武器だけかと思ったのだが、スキルを選択した際に作れる部位が選択できて、他にも盾、鎧、兜、とあったのだが、当然最初に作るのは武器だよねってことで、武器にしたのだ。
結果出来上がったのは、なんというかね、普通に剣なんですよ。
とてもあのパリパリになって丸まったティッシュからできるとは思えないんだけど……
できちゃったんだよねぇ~これが。
それと素材のせいなのかわからないけど色は白く、それでいてちゃんと硬いし、剣先も尖っているし、斬るという能力については問題なさそう。
素材になったものに目を瞑れば、まともな剣ではないだろうか?
そう思いつつも、一応アイテム欄を長押しクリック。
すると……
※ せいなるつるぎ 攻撃力50
サクセスの性によって作られた性成る剣
「…………せいってそっちかよ!!」
まぁいい。こんなものは無視だ。
強ければなんでもいいじゃないか。
ということで他の部位も作ってみたのだが、そのどれもが……
せいなるよろい 防御力40
せいなるかぶと 防御力30
せいなるたて 防御力30
と、どれも同じ名前であり、かつ高性能である。
ただし見た目に関しては問題が大きい。
というのも、装備する前は普通に白いだけの防具なんだけど、俺が装備した瞬間、全身にモザイクが掛かるというバグ装備だ。
これを全て装備した俺は全身モザイク人間であり、唯一モザイクが掛かっていないのは目だけ。
これが昨日やったスロットの魔液晶で表示されたキャラならば、完全に機械の故障が疑われるバグキャラと言っていい。
俺という存在が一体何なのか不安になるよ。
まぁいずれにせよ、体はスッキリしたし、装備も整い、戦闘態勢は整った。
これならば次のBOSS戦も普通に戦えるかもしれない。
当初の予定とは異なるが、まぁこの状態なら我慢しよう。
なんにせよ、クリアさえできればいいのだから。
「うしっ!! まってろよビーオーエスエス!! 生まれ変わった俺の真の……いや性の力でぶっ倒してやっからな!!」
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