第15話 神々の力②

  ※  ※  ※



「凄いな、本当に。なんだよ、この力……」



 改めて、俺は自分の能力の上昇に驚いている。


 魔人へと転職した俺は、精神世界にも関わらず力が溢れ出てくるのを感じていた。



「それがあなたの新しい力です。」


「後で冒険者カードを見るのが怖いよ。でもこれなら……」


「はい。しかし過信は禁物ですよ。それと昨日サクセスさんが見たように、現在魔物が凶悪化しており、サクセスさんのような特別な力を持っていない者では対応できない状況にありました。」



 確かに昨日の凄惨な状況を見れば、それは一目瞭然だ。


 実際に戦った俺としては、サムスピジャポンの敵が強かったからか、違いがわからなかったけど……



「俺にはあまり強くなったようには感じなかったけど、確かに冒険者より圧倒的に魔物の方が強かったな。あれ? じゃあもしまたここが襲われて、女神像が壊されたら……」



 そこまで聞いて気付いてしまった。


 確かに女神様の神格が上がり、ビビアンを助ける猶予はできたが、それは女神像が壊されないことが前提。


 さらに言えば、大魔王も女神の力が増したのに気付くはずだし、そうなれば今まで以上にここが襲われる可能性が高い。


 その状況でここがもしも壊滅したならば……



「はい。女神像が壊されれば、全て失敗に終わるでしょう。私の力が増した事で結界も強くはなりましたが、それでも人が守る以上、穴はできます」



 それを聞いて、神官自らが結界に穴をあけてしまったと、副神官長が言っていたのを思い出す。



 確かにこのままではいけないな。



 かといって、誰かにオーブを任せることはできないし、俺がここにずっといる訳にもいかない。



 そんな不安を感じていた俺だが、ターニャには自信があるようだ。



「安心してください。その為の超級職です。間もなくマネアさん達も戻ってきます。そしてあのパーティには超級職に転職できるであろう者もいますし、他の冒険者の中にも数名おります」



 流石は転職の女神といったところだろうか。


 ここにきている冒険者達のステータスをターニャは正確に把握しているようだ。


 でも、転職して直ぐに強くなるわけではないだろうし……本当に大丈夫なのだろうか?



「超級職ってそんなに凄いの?」


「はい。直ぐには無理でも、次第に魔物との力の均衡は保たれるでしょう。ですので、サクセスさんはオーブを探す事に専念して欲しいのです」



 うーん……不安だ。


 数名の超級職で本当になんとかなるのだろうか?


 少しだけ不安は残るがそれはマネアさん達と合流した後に考えればいいだろう。



 ちなみに魔人以外の超級職についても一応確認したのだが……職業名はこんな感じだ。



 魔法戦士→魔剣聖


 バトルマスター→チャンピオンロード


 賢者→大魔導士又は大聖者


 武闘家→バーバリアン→ヘラクレス



 等であり、その他にも多くの新しい職業に転職できるらしい。


 各種新しい強力なスキルや魔法が使えるようになるらしく、実質上級職の二倍以上の戦闘力になるそうだ。


 とはいえ、それらは天空職程の強さはない。


 だが転職前のステータスがそのまま引き継がれるらしいし、かなりの戦力アップになるだろう。


 例の魔法戦士……ブライアンとかいう人なら魔剣聖になれるのではないかとターニャは言っていた。


 もしも順調に超級職になるものが増えれば、このマーダ神殿もある程度安心できるだろう。



 ここまで色々と聞いてきたが、そろそろ俺は本題について質問する。



「それで、どの位猶予はあるんだ? 正直に答えてくれ」



 まだターニャからビビアンの事について、詳しく聞いていない。


 ぬか喜びする前に、正確な情報を知っておく必要がある。



「正確にはわかりません……が、最低でも三ヵ月くらいは猶予があると思います。なぜならば現在私の残滓は、勇者の力の吸い込みを阻止できています。それはつまり送られる魔の力に私の力が勝っているということ」


「ん? じゃあなんで最低で三ヵ月なんだ? 勝っているならずっと可能なんじゃないのか?」


「いえ、そういう訳にはいきません。残滓はあくまで残滓であり、私のパワーアップに影響は受けるものの、その力は永遠ではないのです。それ故に、三ヵ月はもつと判断したのです」



 こんなに離れているのに、自分の力が影響してるのなら……と思ったけど、そうはうまくいかないらしい。


 簡単に言うと、ステータスは上がってるが、体力が減り続けるのは継続って感じかな? ようわからんけど。



「なるほどな。わかった。じゃあ俺は直ぐにでも最後のオーブを手に入れてくる。その後、魔界への行き方は……教えてくれるんだろ?」



 さっき俺は魔界に行って大魔王を倒すとか言っていたが、今考えれば魔界への行き方も知らないし、それをあえてターニャは伝えないでいるつもりだったのだろう。


 それに今更ながら気づいた俺は、確認した。



「冷静になられたようですので、話します。貴方がおっしゃったとおり、全てのオーブを集めたら話します。それですので、今はオーブを見つけることだけに集中してください。」



 やはりそうだったか。


 しかし、とりあえずビビアンを助けられる道が残っているならば、全力で救ってみせるだけだ。



 もう二度と……失いはしない!!






サクセス 聖戦士(魔人) レベル79


ちから 810+(160)

体力  810+(160)

素早さ 785+(160)

知力  785+(160)

うん  785


装備込み


攻撃力 1815

防御力 1115



ゲロゲロ(古龍狼)  レベル50


攻撃力  800

防御力  800

素早さ  800

知力   800

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