第121話 覚悟

(カリー視点)



「カリー殿、某も参らん!」


「今回は私も行かせていただきます、カリー殿。」



 カリーがライトプリズンから出ようとすると、イモコとセイメイがついてきた。



「イモコはわかるが、セイメイ。お前じゃ、あいつの相手は無理だ。」



 カリーは手を伸ばしてセイメイに残るように伝えるが、セイメイはそのまま止まる事なく前に進んでいく。



「わかっています。しかし、四聖獣様を再度降臨させれば、露払いくらいはできるかと思います。私も……卑弥呼様のお役に立ちたいのです。」



 セイメイはカリーの前に立つと、深く頭を下げた。

 その姿を見て、カリーは少しだけ考える……そして決断する。

 


「気持ちはわかった。だけど、死ぬまで召喚するのはなしだぜ。それが約束できない場合は連れてはいけない。」


「わかりました。お約束します。それに私はまだ死ぬわけにはいきません。」


「そうか、そうだな。残された俺達にとって一番の使命は必ず生き残ることだ。それを忘れるなよ。」


「わかったでござる。では卑弥呼様から伝え聞いた話をお願いするでござる。」



 カリーの言葉に二人が真剣な面持ちで頷くと、イモコが聞いた。



「あぁ、卑弥呼が言うには、卑弥呼自身がウロボロスの核となって、本体と一体化するらしい。そうすると、核を倒すと同時に本体も滅びると言っていた。」


「つまり……某達で卑弥呼様を殺す……と言う事でござるな?」


「その通りだ。それとさっき話したかと思うが、復活したウロボロスには聖属性の攻撃が効かなくなる。だから聖属性は無駄からやめておけ。」


「わかったでござる。そもそも某にはそのような事はできないでござる故、問題はないでござる。」


「私も基本的に聖に関係する属性はないので心配いりません。続けて下さい。」



 セイメイの言葉を最後にカリーは話を続ける。



「そうか、それなら問題ないな。最後に一番重要な事だがウロボロスの核……つまり卑弥呼の心臓についてだが、卑弥呼は眉間を狙えといっていた。ウロボロスがどういう形なのかはわからないが、それを聞く限りウロボロスの体のどこかに卑弥呼の顔が残っているのかもしれない。それでも大丈夫か? セイメイ」



 カリーはそう言いながらセイメイの様子を確認する。

 この中で一番卑弥呼と関係が深いのはセイメイだ。

 そのセイメイが卑弥呼の顔を見た時、動けなくなる可能性がある。



「問題ございません。それに私に核を壊す事は不可能でしょう。それよりも、サクセス様にお願いした方が早いのではありませんか?」


「ダメだ。それだけはダメだ。シルクの事もいつかは話さなければならねぇ。そこに更に卑弥呼を直接殺す事をあいつにさせる訳にはいかねぇんだよ。これだけはあいつに背負わしてはならねぇ。」



 セイメイの意見をカリーは拒否した。

 実際カリーにもわかっている。

 この現状、どう考えてもサクセスにやってもらう方が確実だ。

 しかし、それをする事でサクセスの心が壊れれば、全てが終わってしまう。

 それだけは避けなければならない。



「カリー殿……某は師匠を信じているでござる。しかしながら、カリー殿も師匠も本来この件とは無関係。故に、カリー殿の意見に従うでござる。それに……それをやるのは某が適任でござる。」


「悪いなイモコ。確かにこの中で一番純粋な攻撃力が高いのはイモコ、お前だったな。それなら俺達の作戦は、イモコがウロボロスに接近できるように援護し、イモコがトドメをさすことだ。セイメイ、これは決定事項だ。」


「わかりました。従います。しかし、もしそれでダメでしたら……」


「その時は一度撤退だ。他の作戦を考えるしかない。俺の中で次の策は、シロマちゃんにやってもらう事だったんだがな……。情けねぇな、こんな大事な事なのに俺には力が足りない。」


「そう言うなでがんす。そんなカリーは似合わないでがんすよ。」



 カリーの肩が下がったのを見て、イモコがシルクの真似をした。

 それを見て、カリーは少しだけ嬉しそうに笑う。



「あぁ、そうだな。そうだよな、悪いなイモコ。」


「良いでござる。では参るでござるよ。」


「そうだな。最後にサスケ、ロゼ。お前達は何があってもここからでるな。それだけは約束してくれ。」


「了解でごじゃる。ロゼ殿はボックンが守るでごじゃる。」


「安心してカリー。私はあなたの帰るところになるって決めたから、ここから動かないわ。だから必ず帰ってきて。」


「あぁ、任せろ。サクセスも連れて必ず戻ってくる。……行くぞ。」







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