第53話 サクセス vs ゲロゲロ

 俺はゲロゲロと向かい合うと、一気に距離を詰めて斬りかかる。



 ヒュン!


 

 それをゲロゲロがサイドステップで避けた。

 イモコとの訓練の時には、ちゃんとくらってあげていたが、流石に俺相手ではそれはしないようだ。


 俺の攻撃を避けたゲロゲロは、今度は逆に突進してくる。

 その速度は、俺が想像していたよりも早い。



「あっぶね!」



 ギリギリで突進を躱した俺は、すかさず、すれ違い様に剣を振った。



 ズバッ!



 ギャウ(痛い!!)



 俺の攻撃が命中する。

 ゲロゲロの背中から少しだけ血が滲んでいた。



 ちょっと心配である。



「大丈夫か!? ゲロゲロ!」



 ゲロ!(全然余裕!)



 ゲロゲロのステータスは俺とほぼ同じだったはず。

 いくらゲロゲロの防御力が高くても、流石に俺の攻撃力だとダメージは通るみたいだ。



「シロマ! やばそうだったら、俺やゲロゲロに回復を頼む。」


「わかりました。ですが、無理はしないで下さい。」



 シロマに頼みはするものの、やはり少し不安だ。

 ゲロゲロ相手に、俺は手加減できそうもないし、それはゲロゲロも同じだ。



 ゴォォォォ!



 俺がそんな事をシロマに頼んでいると、俺に向かって何かが轟音をたてて飛んでくる。



 ブレスだ!



 咄嗟に盾を構えてブレスを反らすも、その熱さ皮膚がひりひりする。



 ゲロン!(油断!)



 そしてその隙を見逃すことなく、ゲロゲロは俺に近づき、腕を振り上げて爪で攻撃してきた。



 バチんっ!



「がはっ!!」



 攻撃自体は盾で防ぎ、直撃こそ避けたが、その威力を殺しきる事はできずに遠くに弾き飛ばされてしまった。



 ゲロゲロの心配をしている暇なんかない。

 これは死闘だ。

 馬鹿か俺は!



 吹き飛ばされた俺は、片膝をついて立ち上がると、すぐ目の前にゲロゲロがいる。

 どうやらたたみかけるつもりらしい。


 また爪攻撃か?

 いや違う!!

 爪が光ってる!!



【ディバインクロー】



 まじかよ!!

 あれは、盾では防げん!



 俺はまさかゲロゲロが必殺技を放ってくるとは思わず、防御するのをやめた。



ーーそして



【ディバインチャージ】



 俺も咄嗟に必殺技を放つ。



 二つの光の攻撃が激しくぶつかり、その場が眩い光に包まれる。



 バチーーン!


 ドン!



 その衝撃で俺とゲロゲロは共に吹っ飛んだ。



 威力は互角……かと思ったら、ゲロゲロの頭部から出血が。

 どうやら、ディバインチャージの方が知力の乗算がある関係で強かったらしい。



 チャンスだ!



 今度は、俺がひるんだゲロゲロに向かって駆け出す。

 ゲロゲロは本気だ。

 ならば、俺だって本気でやらないわけにはいかない。



 俺が瞬時に近づいた時、ゲロゲロは上空にジャンプした。



 それを見て、俺はゲロゲロの下から剣を突くべく、同じく上空に飛ぶ。



「あまいぜ! ゲロゲロ!」



 空中では流石にゲロゲロでも躱せないはず。

 もしかしたら、激痛を与えるかもしれないけど……仕方ない!!



 俺はゲロゲロの真下から、剣を上空にかかげて飛ぶと一気に突き刺した……はずだった。


 

「何!?」



 なんとゲロゲロは空中で移動し、俺の攻撃を回避したのだ。

 よくみると、ゲロゲロの背中には翼が見える。

 普段折りたたんでいたようで、全く気付かなかったが、ゲロゲロと融合時、俺にも翼があったんだから、ゲロゲロにもあって当然だった。



 今度は逆に俺が狙われる番。

 空中で移動できないのは俺の方だった。

 ゲロゲロは飛んで俺の攻撃をかわすと、急旋回して地上に落下していく俺に突撃してくる。



 バゴォォォォ!



 ゲロゲロの突進が俺の体に、もろに直撃した。

 そしてそのまま砂浜に体が突き刺さる。



 やべぇ。

 おもったよりダメージがでかい。

 頭がフラフラする。



 今までこんな風にダメージを食らった事はない。

 俺の防御力もかなり高いはずだが、今の攻撃には大分体力が削られた。


 だが、痛みを感じている暇などない!

 ゲロゲロは……来る!!



 俺は痛みに耐えて、すぐにその場から退避した。



 ドゥゥゥン!



 俺のいた場所に大きな穴が開く。

 ゲロゲロは俺に突進した後、すぐにブレスを吐いたのだ。

 少しでも行動が遅れていたらやばかった。



 消し炭になるかはわからないが、それでも瀕死は避けられないだろう。



「くそ、空中にいられると攻撃が届かないな。どうにかして、地上に降ろさないと……。」



 ブレスが外れた後も、ゲロゲロは上空を旋回している。

 どうやら、上空から俺を仕留めるつもりみたいだ。



 ドン! ドン! ドン! ドン!



 次々に放たれるゲロゲロのブレス。

 砂浜に大きな穴が無数に出来上がる。

 だが直撃はしていない。


 若干体をかすめることもあったが、なんとか避けきった。

 そして、俺が受けていたダメージは少しづつではあるが回復していく。


 装備についている【オートヒール】の効果だ。



 しかし、このままだとジリ貧になることは間違いない。



 どうにか手を打たないと。

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