第26話 ハーレム万歳!
【サクセスに戻ります】
ビビアン達と別れた後、俺達は宿屋を探すために歩いていた。
みんなやっぱり少し不機嫌である。
ここはキチンと俺から謝らないとな。
「みんな嫌な思いさせて悪かった。いつもはあんな事を言わないんだけど……。」
「サクセス様が謝る事は何一つありませんわ。それよりも、私たちの為に怒って下さった事に痺れましたわ。改めてサクセス様は素敵な旦那様だと思ったくらいですわ。」
イーゼはあの時を思い出してなのか、恍惚の笑みを浮かべる。
「そうよ! 絶対あんな奴にサクセスは渡さないわ。勇者だかなんだか知らないけど、アタイを倒してから言って欲しいわ!」
う~ん。
それはやめて欲しい。
女性同士の戦いは見たくない。
キャットファイトは好きじゃないんだ!
というか、血みどろの戦いになりそうだな……。
「リーチュンはともかくとして、確かにちょっと常識がなさそうな感じでしたね。本当にあの人がサクセスさんの幼馴染なんですか? 未だに信じられません。」
どうやらシロマも大分頭に来ているようだ。
普段ならこんな直球で話すような子ではない。
「いや、まぁなんつうか、ビビアンはさ。寂しがり屋なんだよ。だからと言って、あんな言葉は許せないけどな。でも多分俺の事を凄い心配していたからだと思う。すまないが、許してあげて欲しい。」
俺はみんなに頭を下げた。
「サクセス様! 頭をあげてください。大丈夫ですわ、別に誰に何を言われてもわたくしは平気ですわよ。」
「アタイも別に気にしてないわ。でも何でサクセスを心配してるの? こんなに強いのに。」
リーチュンは不思議そうな顔を浮かべた。
まぁ、出会った時にはそれなりに強くなってたからな。
それもこれも、全部この装備のお蔭なんだけど……。
「いや、俺はさ。みんなに会うまでは凄く弱かったんだ。だからいつもビビアンに守られててさ。そんな情けない俺だからどうしても変わりたかったんだ。だから冒険者になった。」
「まぁ、家が貧乏でそこにいられなくなったのが一番の理由だけど、そうでなくても俺は多分冒険者になっていたな。だからビビアンは、まだ俺の事を守るべき対象とみているんだと思う。」
ビビアンにとっては、昔から俺は守る対象だった。
俺はそれがずっと辛かった。
大好きな女の子に守られてばかりいる男。
そんな情けない話はないだろ?
「ちょっと今のサクセスさんからは想像できませんが……わかりました。今回の事は水に流します。ですが、多分、勇者様の目は心配しているという目ではなくて、あれは……。」
ん?
あれとは?
「敵ですわね。やっかいな人が現れましたね。」
シロマがそう言うと、イーゼがなぜか不穏な事を言い出した。
「敵って……。え? ビビアンは、俺の事そんな風に見てたの!?」
驚いた。
俺はいつの間にそんなに恨まれていたのだろうか。
あれか?
パンティをクンクンしてたのがばれてたか!?
でも、嗅いだのは使用済みだけだぞ!?
「違いますわ。わたくしたちにとって敵という事です。」
ほっ……。
ビビった。
いや、まさかあれがバレていたかと……。
お風呂も覗いてたしな。
そう考えると、俺ヤバイじゃん!
まぁ、今更か。
って、え?
ちょっと待て!
「え? やめてくれよ。できれば仲良くしてほしいんだから!」
喧嘩をやめて~
二人を止めて~
私の為に争わないでぇ~
「わかっていますわ。サクセス様が悲しむような事は一切するつもりはありません。それに、わたくしはサクセス様に何人女性がいても構いませんわ。ちゃんと、わたくしの事も愛してくだされば。」
イーゼは俺の腕をとって、上目遣いでそんな事を言い始める。
その言葉に俺はドキっとしてしまった。
まじか!
いいの?
ハーレム作っていいの!?
やったーー!
「何言ってるんですか! 不純ですよ。男女はお互い一人づつ愛し合う事を教会が決めています。」
だよね……。
シロマはダメみたいだ。
がっくし……。
「アタイは別に気にしないわよ。みんな仲良くすればいいじゃん!」
おぉ!
リーチュンは賛成派か!
これで2対1だな……。
俺の瞳が少しだけ輝く。
「ただ、アタイより弱い人は認めないけどねぇ~。」
ちょっ!
リーチュンより強い奴ってめっちゃ限られてるじゃないか!
ん?
てか、これ誰の話だ?
お、俺でいいんだよね?
「今更だけど、それって俺の話でいいんだよね?」
とりあえず、はっきりと聞いてみる。
これで勘違いとか言われたら、俺どんだけ恰好悪いんだよ。
やべぇ~、早まったかな?
聞かなきゃよかった!
…………。
一瞬時が止まった。
全員黙っている。
嘘!
やめて! 恥ずかしい!
誰だよ、この勘違い野郎は!
馬鹿! 俺のバカ!
「え? 何いってんの!?」
!?
リーチュンが口を開いたかと思えば、可哀そうな奴を見る目で俺を見てくる。
穴があれば入りたい!!
「い、いあ……な、なんでも……。」
「当たり前じゃん! サクセス以外に誰がいんのよ。サクセスはもうアタイのもんだからね!」
そういうとリーチュンはその双丘で俺の顔を挟み込む。
し、しあわせじゃぁぁぁーー!
「サクセスさん、恥ずかしいからこんな所で変な事言わないでください。それとリーチュンのものではありませんので、すぐに離れてください。」
シロマがリーチュンを引きはがす。
つ、つまりあれか?
このままいけば、俺は少なくともリーチュンとイーゼとはハーレムができるという事か?
夢のサン〇ーなのか!?
未来が明るい!
俺……もう絶対死にたくない!
「あら、でもシロマさんのものでもありませんよ。それにシロマさんはサクセス様が他の女性と一緒は嫌なんですわよね?」
「べ、別にそんな事は言っていません! もうこの話は終わりです!」
シロマは顔を真っ赤にして怒っている。
だが、その顔も可愛いぜベイビー。
げろぉ~(僕もサクセス好き!)
おっと、ゲロゲロを忘れていたぜ。
俺はゲロゲロを抱き上げた。
「俺も大好きだよ、ゲロゲロ。」
「あ! ずるい! ゲロゲロだけずるいわ! アタイにもちゃんと言ってよ!!」
えええ!?
「いや、だってここじゃ……。」
「ゲロゲロには言ったじゃん!」
「それよりも早く宿を……。」
「サクセス様、男らしくありませんわね。」
「そうですね、人に言わせておいてそれはないと思います。」
ちょっと待て!
イーゼはまぁいいだろう。
だがシロマ!
君は何も言ってないじゃないか!
「あぁ……えっと……なんっていうんだべかなぁ……」
俺はいきなりのピンチに頭を掻いて、言葉を探している。
なんでいきなりこうなったの?
いや、言うまい。
ここは男らしくビシッと言うべきだ!
「みんな大好きだっぺよ! みんなでお嫁にくるっぺぇ!」
…………。
「ぷ……あははは! またそれ! サクセスってなんでいつも肝心な時にそうなるの。あははは!」
リーチュンに笑われた。
「いいえ、サクセスさんらしくて私は好きです。私もそんなサクセスさんだから好きなんです。」
ドキッ!!
突然のシロマの告白に心臓が脈打ち始める。
「ずるいですわね、シロマさん。美味しいところだけもっていって。わたくしは何度も言っておりますが、この身全てをサクセス様に生涯捧げますわ。何があっても離れません。サクセス様が望むならなんだってして差し上げますわ!」
イーゼはそう言うと抱き着いてきた。
ゴクッ……。
なんでもって……。
オラいきなりそんな事言われても、経験がないから想像できないっぺよ!
でも……。
ええのんか? ほんまにええのんか?
「ちょ! アンタ、またどさくさに紛れて!」
リーチュンも抱き着いて来る。
は!
これはデジャブか!?
まずい、これは逃げないと!
また、変な夢を見てしまう!
俺はとりあえず、二人を振り払うと駆け出した。
「あ! 逃げた! 男らしくないぞぉ!」
リーチュンが追いかけてくる。
だってさ、みんな気付いてないの?
このやばそうな視線の数々。
ここは今、大戦の影響で男だらけなんだ。
さっきから、凄い殺意をビシバシ感じるぞ!
これ以上は流石にヤバイ!
「あいつ、まじで死なないかな。」
「何逃げてんだよ。つうか、ハーレムとかキショ! 男なら一途に決めろや!」
「ああいう奴がいるから……僕は……彼女ができないんだ! 魔法撃っても許されるよね!」
「凄い……僕も絶対しず子ちゃんと……。待っててね! 今日は絶対覗かないからね!」
いつの間にか、俺達は無数の敵に囲まれていたのだった。
しかしなんとか振り切り、ゲロゲロを抱いた俺は、人が少ない木陰に辿り着く。
「はぁはぁ……おかしいな。俺、体力は高いはずなんだが……。」
全力で走っても息が切れないはずの俺が、なぜか今は切れている。
ゲロォゲロ(サクセス大変だね。)
「お前だけだよ。わかってくれるのは……。」
といいつつも、俺の顔は完全にエロイ顔になっていた。
既に今後平和になった後の事を考えて、完全にエロエロモードだ。
「あんな娘といいな! 出来たらいいな! あんなプレイ、こんなプレイいっぱいある~けどぉ~。」
そう、つい歌を口ずさんで踊るほどに……。
げろぉ(サクセス、変……。)
「ハーレムって! やっぱ夢があるね!」
その後、みんなに追いつかれた俺は、ひとしきりの罵倒を受けつつも無事宿屋を見つけることができた。
運よく、二部屋空いていた事から、期待するような事は何も起きない。
だが、今はこれでいい。
だって、俺は……
童貞ですから!!
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【★あとがき★】
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