第42話 聞き込み
翌日もビビアン達は、昨日と同じようにシャナクの捜索を進める。
だが今回は昨日と違い、兵士達は捜索に加わっていない。
昨日神官長が言っていた通り、どうやら兵士達は休ませたようだ。
既に期待なんて皆無であった故、ビビアン達は気にもしないが、それでも少しはそれに対して思うところはある。
とはいえマネアはもとより、ビビアンすらそれについて何も言わないのだから、他の二人も口にする事はない。
それにマーダ神殿の西側の森は広いが、それでも圧倒的な嗅覚を誇るビビアンがいれば、大体のところは見て回る事ができた。
ビビアンには、シャナクの匂いを嗅ぎ分けて探すことができる。
しかし結局、ほぼ全域を捜索し終えるも、やはりシャナクがいた痕跡は見つからなかった。
沈痛な面持ちで町に戻る四人は、帰り道では誰も口を開かない。そんな中やっと町まで戻ると、全員が町の雰囲気が変わっている事に気づく。
その原因は直ぐにわかった。
町に滞在する人の数が、異常に増えていたのである。
日に日に増えていってるのは知っていたが、流石に通りを人が埋め尽くす程の数になっていたのは予想外だった。
それを見てビビアンは口を開く。
「人が増えたわね。とりあえず、明日以降は分かれて聞き込みかしら?」
マネアにそう尋ねると、彼女は頷いた。
「はい。これだけ集まっているのであれば、何らかの情報はあるはずです。明日からと思っていましたが、これだけ集まっているなら、今日から聞き込みをしましょう。」
兵士だけでなく、昨日まで見なかったような冒険者達を見てマネアは予定を変更する。
周囲をみる限り、増えたのは兵士より冒険者が多い。それに服装から見て、近隣だけでなく、遠方からも人が多く集まっている事にも気づいた。
それであれば、昨日よりも多くの情報が聞ける可能性が高い。
何故ならば、冒険者達は兵士よりも付近の状況に詳しいからだ。
冒険者達の行動は、兵士のように制限されていない為、あらゆるところで活動をしており、当然冒険者達が知る情報は多い。
「話を聞くなら私に任せて。得意よ。そう言うの。」
マネアが今の状況に少しだけ期待をしていると、話を聞いていたミーニャは、そのタワワな胸をプルルンと揺らして割り込んでくる。
その言葉を聞いて、マネアは顎に指を当てて何かを考え込むと、それがまとまったのか口を開いた。
「そうですね、冒険者達はミーニャに任せた方が良さそうですね。では二手に分かれましょう。ミーニャはビビアン様とお願いします。私はブライアンさんと回わりますので。」
突然自分の名前を呼ばれビクッとするブライアン。
何故ならその目と意識は、ミーニャのタワワに釘付けであり、よく聞いていなかったからだ。
しかし何となく、聞き込みの話だと思い出すと
「わ、吾輩、あまり聞き込みは得意ではないのでござるが、精一杯努めさせていただくでござるよ。」
そう言って誤魔化した。
だが、そこでハッと気付く。自分の知らないところで、ミーニャが他の男達に囲まれてしまう事に。
すると、ブライアンの胸に沸々とジェラシーと不安が湧き上がるが、何も言わない。いや、言えないと言う方が正しい。
正直、ミーニャが男達の毒牙に襲われるのではないかと気が気では無いが、三人の真剣な表情を見れば、そんな事を言えるはずもなかったのだ。
そんなブライアンの気持ちを他所に、マネアが淡々と決定していく。
「では私とブライアンさんはマーダ神殿に聞き込みに行きますので、ビビアン様達は酒場をお願いします。」
「わかったわ。聞き込みは初めてだけど、師匠がいるなら安心ね。」
ビビアンは聞き込み等まともにした事はないが、ミーニャと一緒ならばと安心していた。
そしてその言葉に、ミーニャはタワワをドンっと叩いて自信満々な笑みを浮かべる。
「まっかせなさい。必ずいい情報を聞いてあげるわ。」
こうして今夜から、四人による聞き込みが捜査始まるのであった。
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