第198話 晴明神社

参内も終えた俺は晴明神社を訪れていた。

「ここが晴明神社か、だいぶ荒れているな。」

「殿、なぜこのような場所に?」

「ちょっと調べたい事が合ってね、宮司さんがいるか探してもらえるかな?

もしいないなら、何処か書物があるような場所を探してほしい。」

「わかりました、小々お待ちを。」

半蔵は手下に指示して荒廃した神社内を捜索する。

その間も神社を散策する・・・


「あれ?これは・・・」

俺は井戸に惹かれる物を感じる。


「殿、管理する者は見当たりませぬが、本殿に書物をいくつか発見致しました。」

「ありがとう、でもちょっと待ってて。」

俺は井戸に近付けば近付く程、感じるものが合った。

「六根清浄、急急如律令!」

俺は井戸に向かい呪文を唱えると体から何か抜ける物を感じ膝をつく。


「殿!!」

半蔵が駆け寄ろうとした先に井戸の上に人が浮かび上がっていた。


「何奴!!殿に何をした!」


「私は何もしていない、私を呼んだのはお主であろう、我が血に連なる子よ、私に何のようだ?」

「・・・貴方は安倍晴明殿で間違い無いか?」

「おかしな事を聞く、知っておるから呪法をかけたのでは無いのか?」

「残念ながら知らなかったです、違和感を感じたから心のままに呪文を唱えただけです。」

「ほう、中々の才能の持ち主のようだな。

お主程私の才を受け継ぐ者はこれまでおらん。

して何を聞きたい?」

「時を越えるチカラを知っていますか?」

「時を越えるか、役小角が最期に行おうとした呪法だな、詳細は知らぬが伝え聞いた事はある。」

「私はその詳細が知りたい、何でもいい、知っている事があれば教えてください。」

「役小角の呪法は最期、伊予の石鎚山に封じられたと聞いている。

時を越える呪法がそこにあるかはわからぬが調べてみると良かろう。」

「ありがとうございます。」

俺は礼をいい話を終わらせようとするのだが、


「まあそうわー、せくな、折角私を呼び出したのだ、手土産の一つでも子孫のお主に授けよう。」

安倍晴明が手をかざすと俺の前に一つの符が現れる。


「これは?」

「私が使役していた式神天后である、伊予に向かうなら役に立つであろう。」

「天后?」

「そうだ、航海の守護をしてくれる。

伊予に向かうなら海を渡るのであろう。

使うが良い。」

「どうやって使うんです?」

「お主が符を書き、船に貼れば良い、それで効果が出る。」

「ありがとうございます。」

「うむ、また聞きたい事があれば来るが良い、私は子孫に呪法を伝授する為に存在する。」

そう言い残すと安倍晴明の姿は消えていく。


「殿、今のは・・・」

「安倍晴明さんだと思う、本人というか呪法によって姿を残しているみたいだね。」

「そのような呪法があるのですか?」

「想像もつかない呪法だけどね。

まあ情報も入ったし、見つかった書物を確認して帰ろうか。」

俺は書物を確認したのち砦に戻るのであった。

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