第196話 追求
「・・・殿、信長に降るという話は本当にございますか?」
夜、服部半蔵から昼間馬上で話した事について質問してくる。
「天下を治める為の方策だよ。」
「殿なら信長に降る事無く、天下を望めるはずです!」
「俺は天下を取るつもりは無い、勿論家臣のみんなに苦労をかけるつもりも無いよ、降る前にみんなに領地を分けるから。」
「我等の領地などどうでもいいのです!
どうかご再考を!」
「半蔵、俺と信長さんが争えばどうなると思う?」
「殿なら信長を瞬く間に滅ぼす事でしょう。」
「ありがとう、でも実際は多くの人が死ぬ事になると思う、織田家は簡単に倒せる相手ではないよ。」
「しかし、それは致し方無い事かと。」
「半蔵、俺が求めるのは戦乱が終わった、平和な世界、民が安息に過ごせる世の中だよ。」
「殿が治める世こそ、民が求める世の中にございます。」
「半蔵、俺はそこまでの器量は無いよ。」
「殿!!」
「俺は必要なら立場なんていいんだ、俺は家族、家臣、領民のみんなが平和な暮らしを出来るようにしたいと思っている。
勿論、信長に降るにしても相応の準備と条件をつける、先送りになるかも知れないがそれで納得してくれないかな?」
「・・・わかりました。
しかし、殿、よくお考えくださいませ。」
半蔵はこれ以上の説得は無理だと感じ、一時引き下がる。
「ふぅ、やっぱり難しいかなぁ・・・」
半蔵が下がったあと俺は説得の難しさを改めて感じるのであった。
「守綱、一大事だ。」
「半蔵どうした?」
半蔵は渡辺守綱に相談を持ちかける。
知り得た情報を共有する。
「なんと、殿が降る事を考えておられるとは・・・
しかし、殿は頑固な所がお有りになられる、この事は細心の注意を払い考えねばならぬ。
良いか、半蔵この事を多くの者に話すな、殿を説得する為にもまずはマサムネ殿を説得する必要がある。
国元に帰った時に正信に相談してみよう。」
渡辺守綱は武に生きる者である、マサムネを説得する自信が無い為、知恵者である本多正信と話し合う必要性を感じていた。
京を目指す道中、思わぬ話に守綱と半蔵は頭を抱えるのであった。
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