第195話 天下について・・・
俺は信長と馬を並べて上京している。
「信長さんも上京を?」
「うむ、お主と仲の良い所を皆に見せるに丁度良いであろう。
それに道中色々話したい事もあるのでな。」
「なんでしょう?」
「うむ、今後の話だ、京を治めるワシはいずれ天下に手が届くであろう。
その時お主はどうする?」
「そうですね、現状私からの一つの案という話で聞いてもらえますか?」
「かまわん、お主とて先の事をはっきりとは言えまい。」
「ええ、それもありますし、状況というのは変わりますから。」
「それで?」
「まず信長さんには天皇陛下の下に天下を治めてもらいたい、征夷大将軍に就任し幕府を開くのが一番わかり易いと思います。」
「ふむ・・・ヒロユキに聞きたいが天皇は必要か?」
「永年君臨するということはそれだけで価値があります。
勿論天皇陛下にチカラを与える必要はありません、毎年決められた額を献金し、その予算内でやり繰りしてもらいますし、幕府から管理する為の役職を作るべきでしょう。」
「お主、公家の出のはずなのに中々辛辣であるな。」
「残念ながら、私が公家というのは半分ぐらい眉唾物ですからね。」
「お主のチカラを知るものからすれば土御門の名に相応しいと思うがな。」
「まあ思う人が思えばいいのです。」
「それで天皇を上に置きどうする?」
「ここからは将来的な話になるのですが、信長さんが今後領地を増やした際、各地を家臣の方々に治めてもらうことになりますよね?」
「そうだな、誰が何処とは言えぬがそうなるのが普通であろう。」
「そこで私も信長さんに降る形で同じ立場になろうと思います。」
「お主が降るのか?」
「ええ、ただ降るのでは家臣の反発もあると思います、そこで天皇の下に入るという形を取りたいのです。」
「確かにわかり易い形ではあるな。」
「勿論降る時は多少なりの条件はつけますよ。」
「それはわかっているが、お主の領地は広い、ワシとお主は良くとも次の世代で争う事にならぬか?」
「ええ、そこで私は領地を分けようと思っています。」
「領地を分けるのか?」
「はい、現状でも甲斐は武田信永、三河は松平元康が子の竹千代に任せる予定です、あとは家臣や今後産まれる?子供達に領地を与えチカラを分けようと思います。
ただその際に理不尽に取潰しなどにならないように配慮を約束してもらうつもりです。」
「お主が降ってくれるなら、それにまさる天下統一は無い。
お主が任命した者達には我が家臣と同じ様に扱い、むこう百年余程は理由がない限り取潰しが無い様に約定をかわそう。」
「まあ、細かい事は後日話し合いたいと思ってますが、今の私の考えはこうですね。」
俺と信長は天下の行く末を話し合うのであった・・・
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