戦国転移、修学旅行から川中島へ！

第171話 浅井と戦い前

浅井久政が木ノ芽峠に迫る中、俺は軍を北近江北部、賤ヶ岳に布陣していた。

「土御門殿、なぜ撤退せずに賤ヶ岳に布陣を？」

前田利家としては不思議に思う、北近江は浅井の勢力範囲、敵対してきた以上迅速な撤退が必須のはずなのだが。

「このまま逃げると被害が出ますからね、ここは浅井を撃破して、退路の確保をはかりますよ。」

「撃破と言っても、後ろに朝倉を抱えている状況で簡単に撃破など・・・」

「別に城を攻めるわけでもないんです、勝家殿が朝倉を抑えている間に野戦で片付けます。」

「しかし・・・」

利家が見るにヒロユキ率いる土御門軍6千、対する浅井は9千からなる兵を集めていた。

数から言ってもヒロユキに不利であるうえ、浅井は拠点に近い、体力の消耗も無い状態である。

「土御門殿、おやじ、いえ勝家殿の身を案じていただけるのは有り難き事にございますが、同盟者の土御門殿の身が大事にございますればここは早くお逃げくだされ。」

利家は信長の為にもヒロユキが討たれる訳にはいかないと考えていた。

織田家の東を守るヒロユキがいるおかげで織田家は機内及び西側に集中出来ているのだ。

もしヒロユキが討たれるような事になれば、土御門も敵になりかねない。

四方が敵に囲まれた織田家が生き残るのは至難の技になるであろう。

利家の背中に冷たい汗が流れる。

「利家殿、戦に勝つだけなら難しくありません。問題は勝ったあとの処置の方です。

補給路も確保せずに領地の維持は出来ませんから、信長殿には仕切り直して浅井、朝倉攻めをしてもらうしかありませんね。」

サラリと勝つと言うヒロユキを信じきれない利家ではあったが、浅井が迫る中時間が無かった、ヒロユキの身だけは守ると誓い、利家は手勢を纏め決死の覚悟を決めていたのだった。

一方、ヒロユキの家臣、一兵卒に至るまで悲壮感はない。

これまでヒロユキの強さをよく知り、ありえない方法で戦を制してきていたのだ、1.5倍の差があるとはいえ、農民を急遽集めて軍にした程度、普通にぶつかっても負ける気はしない。

そして、土御門軍の一人たりとて普通にぶつかるなんて思ってもいなかったのだ。

きっとヒロユキなら何かしらの対策を立てて戦に挑むと。

前田軍と土御門軍、互いに浅井と対する事になるがその覚悟は雲泥の差であった。