第165話 戦準備・・・

俺は柴田勝家と交代して木ノ芽峠攻略に乗り出す。

「さて、いつも通りの城攻めだけど、みんな準備はいいかな?」

俺は今回共に来ている将、前原景久、鳥居元忠、服部正成、榊原康政、島清興、杉谷善住坊に声をかける。

「殿すでに準備は整っております、いつでもご下命くだされ。」

鳥居元忠が代表して答える。

「わかった、清興に先陣を任せる、城の門が開いたら突入して、康政は清興の援護をお願い、善住坊はいつも通り鉄砲隊をよろしく。

景久は俺の護衛で正成は周囲の警戒をしてもらえる?」

「はっ!」

家臣達は戦の面構えになる。

「じゃあ、城を落とすぞ!」

俺達は城攻めに出陣するのだった。


木ノ芽峠では、朝倉景隆と山崎吉家が話し合っていた。

「土御門が援軍に来たようだな。」

「景隆殿、土御門が来たところでこの山中どうにもなりますまい。」

「吉家、甘くみるでない、土御門は名うての戦上手、特に城攻めを得意としておる異質の武将よ。

この城とていつまでもつものか・・・」

「景隆殿、気弱になりますな、士気に関わります。

如何なる相手とて守るだけにございます。」

「うむ、そうであるな、だがもしもに備えて殿に知らせておこうと思う。」

「・・・殿が動かれますか?いまだろくな後詰めもありませぬが。」

「殿は戦がお嫌いじゃからのぅ、だが木ノ芽峠が抜かれればお家の一大事になる、ここはなんとしても動いてもらわねばな。」

景隆は再三に渡り援軍要請をしていたが、あまり援軍が来ない。

しかし、再度要求するしかなかった。


「景隆殿、某に考えがございます。」

「なんだ、吉家。殿を動かす手立てがあるのか?」

「いえ、殿が動かれぬなら他を動かせばよいのです。」

「他じゃと?」

「はい、浅井にございます。」

「浅井か・・・あそこは駄目じゃろ、長年同盟をしておったが織田に付きおったではないか。」

「それが少々事情が変わったよしにございます。」

「聞かせてもらおうか。」

「織田よりの当主浅井長政が失脚し、現在指揮を取るのは先代の浅井久政のようにございます。」

「なに、長政が失脚しておったのか。」

「はい、実は久政から再度誼を結びたいと密使が届いております。」

「それは重畳だ、浅井に土御門の背を討たせれば。」

「久政も同じ考えのようにて既に準備は出来ていると、ただ、討ち果たした暁には軍費の援助をしてもらいたいとのことでしたが。」

「わかった殿に使者を出そう、戦をせずに済むなら殿もお認めになろう。」

「はい、某もそう思いまする、使者殿には承諾の旨を伝えておきます。」

「うむ、事は急を要する、ワシが責任をとる急ぎ土御門の背を討つのだ。」


ここに朝倉、浅井の同盟が復活するのだが、

城攻めに向う俺は知る由もなかった・・・

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