第164話 柴田勝家と合流
「勝家殿、ご苦労さまです。」
俺は柴田勝家の本陣に着いていた。
「これは土御門殿、援軍かたじけない。」
「共にこの峠を制しましょうか。」
「・・・お恥ずかしながら、我軍は既に戦えぬ状況になりつつあり。」
勝家は悔しさと恥ずかしさが混じった複雑な表情を浮かべていた。
「勝家殿、ご苦労様です。
心中お察し致します。
峠を攻め落とすのは我々で行いますので、勝家殿は一度兵を休め攻め落とした後の防衛に備えてもらえないでしょうか?」
「土御門殿、さすがにそこまで土御門殿に甘えるわけには行きませぬ!」
「大丈夫です、山なら労なく戦えますので。
それより、今は織田兵を休ませるのが先です、酒と水飴を陣中見舞として持ってきてますので兵に配ってください。
士気を上げる手助けになるかと。」
「・・・何から何までかたじけない。」
勝家は深く頭を下げるしかなかった。
「勝家殿、頭をお上げください、妻の市が言っておりました。勝家殿は織田家中一の豪傑であり、信用出来る御仁だと。
そのような方と縁を結べるならこの程度の贈り物など微々たるものです。」
「お市様がそのような事を・・・」
「ええ、勝家殿に感謝をしておりました、織田にいる時はよく護衛をしてもらったそうで、まるで叔父のように可愛がってもらったと言っておりました。
そうだ、手紙を預かってるのでお渡ししましょう。」
俺は市からの手紙を勝家に渡す。
手紙の中には織田にいた時に良くしてもらった事の感謝と今幸せに過ごしている事、そして、願わくばヒロユキの身を守ってほしいとの事が書かれてあった。
「お市様が幸せそうで何よりにございます。」
「少し恥ずかしいけど、変な事は書いてないよね?少し見せてもらってもいいかな?」
「あはは、これは某への手紙ですからなお見せするわけにはいきませぬな。」
「内容が気にはなるが・・・
まあ、それはあとにするか、勝家殿、一度金ヶ崎城まで退いて、兵を休ませてください、その間に城を落としますので。」
「利家!兵の指揮は任せた、士気の上がらぬ者を連れて休ませろ。」
勝家は前田利家に命じて兵の大半を退かせるが・・・
「土御門殿、まだ戦える者で一軍と致す、共に城攻めに参加致そう。」
「わかった、そこまで言うなら、一緒に戦いましょう。
ですが、無理は禁物ですよ。」
勝家からの気迫に俺は受けるしか無かった。
「お任せあれ、織田一の武勇お見せ致そう。」
俺は勝家と共に木ノ芽峠攻略に乗り出すのだった。
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