第163話 話を聞く
「俺達だけで援軍ですか?」
信長から話を聞き家臣たちは顔をしかめていた。
「重ね重ねヒロユキにはすまんことをしているのはわかっている、だが、この状況では頼むしかない。」
「わかりました、木ノ芽峠を抑えたらいいんですね。」
「引き受けてくれるか!」
「まあ、折角京まで来ましたからね、信長殿も苦労しているみたいですから。」
「ありがたい、これでなんとかなる。
おお、そうだ、勿論、報酬は弾む。
そうだ、正当な報酬以外に何か欲しい物があるなら用意致すが何かないか?」
「そうですね・・・それでは貸し1でいいですよ。」
「貸し?そんなもので良いのか?」
「ええ、天下を取る人に貸しを作る機会など中々無いですからね、今回の無理はそれで聞きましょう。」
「わかった!だが貸し1などケチくさい事は言わん、3ぐらいつけておこう。」
信長は答えが気に入ったのか大きく笑っていた。
「殿、よろしかったのですか?」
信長が帰ったあと榊原康政が訝しげに聞いてくる。
周囲の家臣を見ても納得していない様子だった。
「いいかよく聞け、たかが峠を1つ制圧するだけだ、織田軍がいなくても簡単に終わることじゃないか、それを難題のように言うのは恥ずかしくないか?
俺達ならサッと落としてくるぐらい見せてやろう。」
「しかし、殿。織田殿は我らを下に見ておるのではないでしょうか。」
「下?そんなことは無い、信長殿の表情を見たであろう、こちらに気を遣い、わざわざこちらの陣まで出向いたのだ、これ以上の礼は無いだろう。
なら我らは礼に応えるのみだ。」
俺の言葉に一定の理解を得れたのだろう。
康政は頭を下げる。
「私の理解が足りておりませんでした、殿の御命令通り木ノ芽峠の制圧に全力を尽くしましょう。」
「それでは行こうか!サッサと片付けて武名を轟かすぞ!」
「おお!!」
俺の言葉とともに木ノ芽峠を目指して進軍する。
木ノ芽峠では士気の上がらない兵を率いて柴田勝家が苦戦していた。
山岳の地形の為に進軍がままならず、休むにも休む平坦な場所を探すのにも苦労する有様だった。
徐々に溜まっていく疲労と下がる士気により軍は崩壊の危機が迫っていた・・・
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