第161話 援軍

織田、朝倉の戦いは膠着状態となる。

朝倉の守将朝倉景隆、副将山崎吉家が地の利を活かし、山間の砦を守っており、簡単には抜けそうにない。


「このままでは時間の無駄か。」

信長は頭を悩ませる。

山間の為に大軍が意味をなさず、兵がいたずらに消耗し続けている。


「勝家、ここは任せたぞ。」

現状を打破する為に勝家に軍を任せて、信長は一度岐阜に戻る。



そして、俺の元に使者が訪れる。

だが、その人物に俺は驚く。

「援軍ですか?」

「うむ、ヒロユキにはチカラを借りすぎているのはわかるが、どうか頼めぬか?」

使者として来ていたのは信長本人であった。


「援軍はいいですが、何故信長殿自ら使者に?」

「お主にはだいぶチカラを借りておるのに、何も返せておらぬからな、せめてもの礼儀としてワシ自ら来たのじゃ。

どうだ、驚いたか。」

「まあ、驚きはしました。

ですが、当主自ら動かれるのは危ないのではないですか?」

「岐阜から吉田まで敵などおらん、お主の領内など道も整備されておるから走りやすかったぞ。」

「まあ、交通の便を良くしてますからね。」

「ワシも見習わねばならぬな。」

「こちらとしては交易しやすくなるのでいいのですが、一応他国になりますよ?」

「お前が敵対するなら道も城も関係ないだろ。

それなら交易で儲けた方が良いわ。」

信長は上機嫌で笑っている。



翌日、信長は急ぎ帰路についた。

俺は陣触れを出す。

今回は三河、遠江の兵を集めて6千からなる軍を編成する。

ただ、ユメちゃんの機嫌がすこぶる悪い。

京から帰ってきたばかりな上、最近留守にしがちな為に不満が溜まっていたようだった。

「ユメちゃんごめんって、機嫌直してよ。」

「うー、だってまたお出かけするんでしょ。」

「まあね、でも、信長さんが天下を安定させてくれた方が色々調べごともしやすいしね。」

「調べごと?」

「現代に帰る方法だよ、畿内が安定したら一度京都に行こうか、俺とユメちゃんが揃ったら何か起きる事もあるかも知れない。」

「・・・帰れるのかな?」

「まだ何もわからない、でも前鬼の言葉を信じるなら何か術があったはずなんだ、それを調べてみたい。」

「わかった・・・でも、お兄ちゃん無理はしないでね。」

「もちろんだよ、ユメちゃんもいい子にして待っててね。」

俺は信長の援軍に越前に向かい出陣するのだった。

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