第157話 祝宴
翌日、諸大名や公家を招いた酒宴を行う。
毛利、大友、島津、伊達、蘆名、佐竹等各地の有力大名から使者がやってきていた。
その多くが信長と挨拶をかわし、友好関係を築くのに必死な中・・・
「義弘殿は信長殿の所に行かなくていいのですか?」
「あー、あんだけ囲まれている中で普通に挨拶しても埋もれるだけだろ?
それならヒロユキ殿と話していたほうがいいと俺の勘が言っているんだ。」
島津義弘は俺の所に来て清酒を美味しそうに呑んでいる。
「俺には酒を呑みに来ているだけな気がしますが・・・」
「そう言うなよ、こんな旨い酒呑んだことが無いんだ。これは土御門家で作っているんだろ?
いくらか分けてくれないか?」
「いいですけど、それなら交易してみませんか?そちらにある特産品も仕入れたいですし。」
「のった!兄上は必ず説得するから、話を進めてくれないか。」
義弘はアッサリと認める。
「持ちかけた身とはいえいいんですか?」
「構わない、それにヒロユキ殿と縁が出来る事が一番の成果になるはずだ。」
「それも勘ですか?」
「俺の勘は当たるんだ、それに信長殿の快進撃もヒロユキ殿が絡んでいるんだろ?」
義弘は独自に上洛戦について聴き込んでおり、ヒロユキの動きに気付いていたのだ。
「俺のしたことなんて大したことありません、やはり信長殿のお力でしょう。」
「まあ、そういう事にしておくよ。
交易については改めて話をしようじゃないか。」
義弘はそう言うと人だかりが少し減った信長の所に向かって行く、義弘としても挨拶をしないわけにはいかないのだ。
「信長殿、島津家当主、島津義久が弟、島津義弘と申します、以後お見知りおきを。」
「おお、島津殿、遠方より遥々ご苦労であった。して、ヒロユキと話しておったが実りはあったか?」
「はい、見ておられたのですな。」
「ヒロユキは大事な義弟じゃからな、それにしても見る目のないものが多い。
ワシも島津殿と同じ立場なら迷わずヒロユキに挨拶をして、交易の準備をする。
それが1番利益になるな。」
信長は上機嫌で笑う。
「かなり信用なされておられるのですな。」
「ヒロユキに野心があれば、ワシは上洛など出来ておらん。
島津殿、ヒロユキと上手く付き合うコツは裏切らぬ事だ、さすればヒロユキは必ずチカラになってくれるであろう。」
「肝に命じておきます。」
短い会話しか出来ぬ中、義弘は信長の印象に残る事に成功するのだった。
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