第153話 それぞれに説明
浅井家
「なんと!私が先頭ですか!」
信長から先頭を任せられた事に浅井長政には驚きと喜びがあった。
「うむ、長政殿には色々世話になっておるからな、帝に最初にお目にかかる栄誉を任せたい。」
「ありがたき幸せ。信長殿の配慮、生涯忘れません。」
「そう重くとらなくても構わない、だが、帝の前に出るのだ、武士として恥ずかしくないように頼む。
まあ、心配はしておらぬがな。」
信長は大きく笑う。
「お任せあれ、必ずや成功させましょう。」
真面目な話が終えたあと、信長と長政は二人で盃を酌み交わす。
「信長殿にお聞きしたい、土御門殿は何番目にございますか?」
「ヒロユキか?あやつは2番目だ、長政殿の後ろになるな。」
「そうですか・・・」
「なんだ、気になるのか?」
「ええ、それはまあ・・・」
「あやつと比べぬ方が良いぞ、あやつは奇を好むからな、きっと武家とは思えぬ馬揃えをするであろう。」
信長は笑っている。
「信長殿はそれでよろしいのですか?
これは武家としての馬揃えでは?」
「あやつが公家なのは仕方のないこと、そして同盟者であり、ワシの妹婿だ。
あやつがどんな格好でも恥をかくのは公家であり、ワシラは武士として恥ずかしくないようにすれば良い。」
「これは差し出がましい口を挟みました。」
「よい、長政殿は馬揃えの成功の為の進言であろう。
さあ、一献、共に帝に我等の勇姿を見てもらおうぞ。」
信長と長政は夜遅くまで共に飲むのだった。
上杉家
「景虎殿も参加しないか?」
俺は景虎に馬揃えの参加をうながす。
「吾がか?」
「折角の機会だし、同盟もしたんだろ、それなら参加しても問題ないはず。」
「ふむ、だがな、供回りも少ない、これで参加しても恥をかくだけであろう。」
「大丈夫、俺の方から兵士を貸す。ほれ、旗も用意してある。」
俺は大量の上杉の旗を見せる。
「準備がいいな。」
「こんな事もあろうかとね。」
「ふっ、わかった、婚姻で吾の我儘を聞いてもらったのだからな。今度は番であろう。」
景虎は笑いながら了承する。
「ありがとう。きっと来客は驚く事になるよ。」
俺は軽く笑っていた。
「皆の者聞いておったな、我等の勇姿を見せるのだ、借りた兵より不甲斐ない姿など見たくないぞ。」
「はっ!」
景虎の命令が下り、高みの見物で気の緩みがあった家臣達は気を引き締めるのであった。
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