第154話 公家の視点

帝を筆頭に公家、諸大名の使者が見守る中、馬揃えは開催される。

「あれが浅井か・・・」

浅井長政は古式にのっとった大鎧を着用しており、その家臣たちもそれに準じた出で立ちで行進していく。

ただ、随行する兵士の装備が些か見栄えが悪い、先頭の為に比較されていなかったが、公家達は軽く中傷していた。

「所詮武家でごじゃるな。」

「如何にも風情をわかっておらぬ、帝の前に出るのじゃからのぅ・・・」

浅井長政が悪い訳ではない、公家達はただ武士を否定したいだけであった。


そして、俺は・・・

衣冠束帯を身に着け、家臣達は直垂姿で行列を行っていた。

馬揃えという軍事パレードの中で公家としての姿を見せ、なおかつ、他と違う雰囲気を作るために、無骨な鎧姿ではなく、宮中に参内するつもりの服装を用いることで、雅な雰囲気を作ることに成功していた。

「さすがは土御門殿、野蛮な武士とは一味違うのぅ・・・」

「土御門殿は武家ではないでおじゃるからの、馬揃えと言って鎧を着る必要などあるまい。」

公家は武士を卑下したい気持ちもあり、また援助を貰っている事も考慮して否定的な声が出なかった。


そして、メインとなる織田信長は一兵士に至るまで新品の鎧に身を包み、入場前に鉄砲隊を空砲で空に一斉射!周囲のド肝を抜いてからの行進をした。

武将が乗る馬達はどれも名馬と呼べる馬であり、見るものが見ればその精悍さは息を飲むほどであった。

そして、当の信長は南蛮具足にマントを羽織り、一際目立つ装いとなっていた。

「・・・信長殿は見事でおじゃる。」

「武士も侮れぬやも知れん。」

財力から潤沢な装備を身に纏い、高価な鉄砲を惜しげもなく撃つ。

その姿に京の人々は恐れおののくのだった。


最後の上杉はヒロユキのはからいで一兵卒に至るまで騎乗していた。

先頭に巨大な龍の旗を掲げ、一糸乱れぬ行進を見せつける。

「これは、これは織田殿とは違う迫力がありますなぁ。」

「古来より武士とはこのような者なのでおじゃるな。」

「さすがは天下に名高い上杉殿でごじゃるな。」

織田の鉄砲に恐怖を覚えた後だった事もあり、馬に乗り毅然と行進する上杉の姿に好感を持つものが多かった。


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