第152話 並び方

「信長殿、馬揃えの参加者はどうなってますか?」

俺は市と一緒に信長と茶を飲みながら世間話のように話していた。

「そうだの、有名どころは西国からは毛利、大友、長宗我部から使者が来ておる、東国からは佐竹、蘆名、伊達だな。

まあ、東国はヒロユキを気にしてるようだがな。」

「それって全部見学ですか?」

「そうだ、だからこそ力を見せねばならんな。」

信長は意気込んでいた。


「それで、行列に参加者は?」

「織田と浅井、お主の土御門、上杉はどうするか聞いておるか?」

「誘って見ようと思います。折角ですからね。」

「供回りが少し少ないように見えたが?」

「そこは俺の部隊から出しますよ、恥をかかせるわけにはいきませんし、ちゃんと旗も用意してあります。」

「抜かりがないな。」

「まあ、見る側になるなら必要ないのですけどね。」

俺は軽く笑う。


「ヒロユキは行列のどの位置がいい?

それと各家の並び順、お主ならどうする?」

信長は俺に配慮してくれるようだった。

「それって並び順を選ばせてくれるのですか?」

「うむ、1番の同盟相手で義弟だからな、好きな順番でいいぞ。」

「それなら浅井、土御門、織田、上杉でどうでしょう?」

「その意図は?」

「まず、先陣、露払いということで長政殿の面目を保ちます、そして、公家の俺が続き、本陣として信長殿、最後の取りを景虎殿が来ることで皆さんを驚かす事が出来るかと。」

「うむ、面白い案だ、良かろうそれでいこう。」

信長は楽しそうにしている。


「兄上は楽しそうにしてますけどヒロユキ様はよろしいのですか?2番手なんて目立たない順番で・・・」

市は俺が信長の為に我慢しているのではないかと心配している様子だった。

「市大丈夫、俺は順番を気にしないし、それに目立って見せるから。

俺より、俺の後ろの義兄上を心配してあげた方がいいかな。」

「言ったな、ワシの軍はこの日にかけて準備しておるのだ、並大抵のことではワシを食うことは出来んぞ。」

「並大抵ではね。」

「くくく、良いのぅ、よしワシも楽しみにしておるぞ。

誰かある!馬揃え参加者を集めろ、今一度視察する。」

信長は上機嫌に茶室から出ていき、家臣達を集めるように指示を出していた。


「ヒロユキ様、大丈夫なのですか?」

「大丈夫だよ、所詮祭りミタイナものだしね・・・そうだ、市も一緒に行こうか。」

「えっ?それは殿方の催しでは?」

「女性が駄目という記述は無いはずだ、よしそうしよう。」

「えっ、えっ!」

俺は戸惑う市を連れて屋敷に帰るのだった。

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