第147話 景虎来訪
「景虎殿よくお越しくださった。」
俺は国境の上田城まで迎えに来ていた。
「おお、ヒロユキ久方ぶりだ。」
互いに挨拶を交わすが、俺を含めて家臣団一同驚愕していた。景虎が連れていたのは五十人程だったのだ。
「景虎殿、流石に供回りが少なくありませんか?」
「何を言う、同盟国を訪問するのに多勢で来る必要などあるまい、共の多くは京を見せてやろうと思った者共だ。
それにのぅ、ヒロユキが我を殺める気なら何人いても関係あるまい。」
景虎は大きく出る笑う。
「これは勝てない筈だ、豪胆過ぎますね。
聞いたか、景虎殿に害するものは俺の顔を潰す行為と心得よ!」
俺は改めて家臣に宣言するのだった。
それからは馬を並べて行軍していた。
進路として一度南下して、信濃から三河に抜けて行くルートを取る。
本来なら美濃にそのまま抜けるのが近いのだが、景虎が俺の本城である吉田を見たがったのだ。
俺はあえてこれを受ける。
家臣は反対していたが、吉田が一番開発が進んでおり、見られた所で真似など出来ないと考えた所もあった。
道中、接待をしながら、吉田にたどり着くのだった。
「これが吉田か、見事なものだ。」
景虎は街を見て感嘆の声を上げる。
「ここは早くから俺が開発してますから、それなりに進んでいると自負しております。」
現在、吉田に繋がる道の多くはローマンコンクリートで整備されており、港もローマンコンクリート造りで大型船が停泊し、街も区画整理が施され、商人達が行き交い活気に満ちていた。
「人が多いのぅ、修験者が多いのか?」
景虎は修験者の数に驚く、どこを見ても修験者がおり、町中で修験者がこれ程行き交う姿を見たことがなかった。
「そうですね、噂で聞いているとは思いますが、前鬼殿がこの地に現れましたので、修験者の方がこの地を聖地として多くの人が全国から来ているのです。」
景虎は冷や汗が流れる。
全国から修験者が来ていると言うことは情報も全国から集まるということ、
そして、彼等の聖地を抑えているということは信者を多く戦場に出している本願寺と同じで彼等が命を惜しむ事は無いだろう。
一向宗に手こずっている景虎としては恐ろしい物があった。
「さぁ、城に参りましょう、景虎殿が到着するのを家臣含めて、私の家族も首を長くして待っているのです。」
「ヒロユキの家族か、それは楽しみだな。」
俺は景虎を連れて吉田城に入城したのだった。
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